(ブルームバーグ): 8月の米消費者物価指数(CPI)は前月比の伸びが市場予想を下回った。過去7カ月で最低の上昇率にとどまり、インフレ圧力が一部で弱まり始めていることが示唆された。

  各企業は原材料不足や輸送のボトルネック、採用難などによるコスト増に直面し、消費財やサービスの価格を引き上げている。経済再開に伴う価格の急騰は緩和されつつあるものの、サプライチェーンの不安定な状況が2022年にかけて残り、インフレ率が高水準で続く可能性はある。  

「一過性」巡る議論

  BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は、インフレ高進が一過性かどうかの議論はまだ全く終わっていないとしつつ、「ただ少なくとも、消費者物価の上昇がより緩やかになったことで、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合にはやや余裕が生まれるだろう」と述べた。

  8月の数字は、インフレ高進は一時的なものだとする一部の米金融当局やバイデン政権の見解をある程度裏付ける内容となった。3兆5000億ドル(約385兆円)規模の税制・支出計画を掲げるバイデン大統領にとっては、景気刺激策が深刻なインフレを引き起こすとの共和党からの批判をかわす材料にもなりそうだ。

  部品不足がなお生産を抑制している。過去1週間ではトヨタ自動車と3Mが共に、半導体不足を理由に自動車生産の見通しを下方修正した。ネスレは原材料価格や輸送コストの上昇を受け、さらに大幅な値上げを実施するとしている。

  先のハリケーン「アイダ」の被害で米南部の製油施設や石油化学工場の操業が停止したことも、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に絡むサプライチェーンの停滞状況を悪化させ、価格圧力に拍車を掛ける可能性がある。

  8月は航空運賃が前月比9.1%低下。中古車が1.5%、自動車保険は2.8%それぞれ下がった。ホテル宿泊費とレンタカー料金も下がっており、新型コロナのデルタ変異株の感染拡大による需要減退が、他人との接触機会の多い分野での価格下落につながっていることを示唆した。

  一方、家賃と帰属家賃は上昇。家庭用家具・備品や自動車部品、男性用スーツも大きな伸びとなった。

  企業はここ数カ月、賃金・給料を引き上げているが、物価上昇で消費者の購買力は損なわれつつある。別に発表されたデータによると、インフレ調整後の実質平均時給は8月に前年同月比0.9%減少した。前月は1.2%減少だった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

(第4段落以降に統計の詳細やエコノミストの見方を追加して更新します)

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