(ブルームバーグ):

日本銀行の22日の金融政策決定会合では、現行の金融緩和策の維持が見込まれている。新型コロナウイルスのデルタ株の内外経済への影響や、気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度(気候変動対応オペ)の詳細などが議論される見通しだ。

  エコノミスト47人を対象に10−15日に実施した調査によると、46人が9月会合での政策維持を予想した。次の政策変更のタイミングは2023年以降との回答が76%を占めた。

  国内ではデルタ株の流行に伴う第5波を受けて、緊急事態宣言など公衆衛生上の措置が19都道府県に対して9月末まで実施され、サービス消費には下押し圧力が続いている。東南アジアの部品工場の操業停止によるサプライチェーン(供給網)の寸断で、日本の生産にも影響が出ている。

  若田部昌澄副総裁は1日の記者会見で、日本経済がコロナショックから回復するタイミングは「後ずれすると思う」と述べた。日銀が今回の会合で景気の現状についてやや慎重な判断を示す可能性もあるが、ワクチン接種の進ちょくや好調な海外経済を背景に、日本経済が先行き回復に向かうとのシナリオに大きな変化はなさそうだ。

  気候変動対応オペは年内の実施に向けて、早ければ今回会合で詳細を示した基本要領が決定される見通し。前回の7月会合で骨子が公表されており、対象となる金融機関の開示基準や海外向け投融資の取り扱いなどが残された注目点となる。

  黒田東彦総裁は7月会合後の会見で、開示基準について「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示が最も有力な候補ではないか」と説明した。バックファイナンスの対象は「基本的に国内での投融資」としつつも、「海外への投資みたいなものであっても、わが国の気候変動対策になるものを排除する必要もないように思う」とも語った。

自民党総裁選

  総裁会見では、自民党の総裁選(29日投開票)に関して見解を問われそうだ。コロナ対応が優先課題となる中で、誰が首相になっても当面の金融政策運営に大きな影響はないとみられているが、総裁選の論戦を通じて、各候補の経済・金融政策に関するスタンスの違いも明らかになっている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、アベノミクスが掲げた大規模緩和に対する評価は、党総裁選の候補者それぞれで異なると指摘。金融政策への影響は「景気が回復軌道に戻った後は別かもしれない」とみている。

決定会合の注目点

10月会合で示す新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の作成に向け、新型コロナの影響を中心に景気動向を点検する。デルタ株の影響を受けた個人消費と生産の動向や、原材料価格の上昇に伴う企業収益への影響などが論点になる見通し消費者物価の基準改定後では初の会合。携帯電話通信料の下落の影響が大きく反映され、生鮮食品を除くコアCPIは再びマイナス圏に沈んだが、日銀は基準改定の影響は一時的なもので、物価の基調に影響はないとみている気候変動対応オペは年内をめどに開始する。金融機関への内容の説明やオペ先の選定など今後のスケジュールを踏まえれば、基本要領は今回の会合で決まる可能性がある自民党総裁選を巡り、市場では新たな首相の経済・金融政策に対するスタンスが23年4月に任期満了となる黒田総裁の後任人事に影響する可能性も指摘されている

現在の政策運営方針

日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用長期金利がゼロ%程度で推移するよう上限を設けず必要な額の長期国債を買い入れ。許容変動幅は上下0.25%程度ETFとJ−REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じ買い入れCPや社債などは22年3月末までの間、合計約20兆円の残高を上限に買い入れ

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