(ブルームバーグ): 菅義偉首相は経済・軍事両面で台頭する中国について、「わが国の平和と繁栄にとってのリスクになる可能性がある」との認識を示した。

  菅首相は22日のブルームバーグとの単独インタビューで、インド太平洋地域は中国の台頭によるパワーバランスの変化や、新型コロナウイルス禍で自国中心主義が進むことで「不確実性が一層増大している」と指摘した。

  中国による軍事面での影響力拡大は地域の安全保障環境を厳しくするとして、日米同盟の抑止力に加えて日本の防衛力強化に取り組む必要性を強調した。台湾情勢については「軍事バランスの変化を含む最近の動きを常に注視している」と語った。

  台湾を巡っては、4月に行われた日米首脳会談の共同声明で台湾海峡の平和と安定の重要性を確認。7月に公表した防衛白書でも「台湾情勢安定の重要性」が初めて明記され、菅政権下では台湾問題を重視する姿勢が鮮明となった。

クアッド

  退任が決まっている菅首相は最後の外遊先として23日に訪米し、24日に米国、日本、オーストラリア、インドによる「クアッド」の対面による初の首脳会談に出席する。バイデン政権は、中国に対抗するため、インド太平洋地域への関与を外交政策の最優先課題と位置付けている。

  菅首相はクアッドでの議論について、「自由で開かれたインド太平洋」実現への強いコミットメントの確認に加え、ワクチンや新しい技術、気候変動、インフラなどの課題がテーマになると説明。「今回の議論を経て目に見えるかたちで4カ国の協力を具体化する」と述べた。

  米国が今月、英国、オーストラリアの3カ国で創設した新たな安全保障協力枠組み「AUKUS(オーカス)」に関し、「関係国の間の協力が進むことを期待したい」と言及。インド太平洋の安定という目標に向かい、クアッドや東南アジア諸国連合(ASEAN)、フランスを含む欧州と連携を進める考えを示した。

  菅首相は2012年の第2次安倍晋三政権発足時から官房長官を務めた。昨年9月に体調不良で辞任した安倍氏を引き継ぎ首相に就任。携帯電話料金引き下げやデジタル庁設置に取り組んだほか、4月には訪米しバイデン大統領が初めて対面会談する外国首脳となった。自民党総裁選(29日投開票)への出馬を見送り、政権発足から約1年で退陣する。

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