(ブルームバーグ): 米地区連銀総裁2人が27日、株取引を巡って批判を受ける中で相次ぎ辞任を表明したことで、金融政策に携わる重要ポストに予期せぬ数の空席が生じることになり、誰がそれを埋めるかに非常に強いスポットライトが当たる可能性が高い。

  辞意表明したボストン連銀のローゼングレン総裁とダラス連銀のカプラン総裁は、昨年の証券取引に関する情報開示を巡って批判を浴びていた。

  連邦準備制度は金融政策運営の結果、資産保有者が裕福になるとしても、メインストリート(実体経済)を大事にしていると国民を納得させようとしていただけに、今回の件は当局にとって頭の痛い問題となっていた。

 

  19人(現在は1人欠員)の参加者から成る連邦公開市場委員会(FOMC)は両総裁の辞意表明により、6つのポストが今後数カ月に入れ替わる可能性がある。連邦準備制度は要職の多様性を高めるよう圧力を受けており、金融政策見通しでは意見が割れている。

  米金融政策ウオッチャーによれば、多様性に乏しいとする批判の沈静化を目指し、連邦準備制度理事会(FRB)の指導部は地区連銀総裁の新たな起用で影響力を強め、地区連銀の理事会は脇に追いやられる可能性があるという。

  ローゼングレン、カプラン両総裁の後任探しは通常、それぞれの連銀の理事会が主導することになるが、最近では特に多様性の問題を巡って地区連銀総裁の起用は厳しい監視の目にさらされており、FRBが選定など一連のプロセスへの関与を強めている。

  FRBで上級職を務めた経歴を持つダートマス大学教授のアンドルー・レビン氏は、地区連銀総裁の選定において「FRBがよりオープンで透明性あるプロセスに着手する好機だ」と指摘。「FRBの長年の内部関係者や金融や資産運用分野に緊密な関係を持つ人だけでなく、幅広い候補について真剣に検討されるべきだ」と述べた。

  アトランタ連銀のボスティック総裁は2017年、連邦準備制度創設後100年余りを経て、ようやく黒人として初の地区連銀トップに就いた。現在の地区連銀総裁12人のうち、女性は3人のみ。

  人種やジェンダーの構成と共に、FOMCの政策スタンスも変わる可能性がある。

  現在のFOMCの陣容はバランスがうまくとれている。直近のFOMC予測では、22年末まで政策金利をゼロ付近に維持して成長や雇用の押し上げを目指す参加者と、同年中に少なくとも1回の利上げを実施して経済再開に伴う物価上昇の抑制を図りたい参加者が同数となった。

  退任するローゼングレン総裁はタカ派寄りと受け止められており、今後数カ月で任期満了予定のクラリダ、クオールズ両FRB副議長も同様だ。3人のポストが入れ替われば、政策引き締めに時間をかけたい当局者が増える形でFOMCの陣容が変わる可能性がある。

  パウエルFRB議長も来年2月に任期満了を迎える。バイデン大統領はパウエル議長を再任するかどうか示唆しておらず、その決定は今秋行われる見通し。

 

©2021 Bloomberg L.P.