(ブルームバーグ): 決選投票で河野太郎行政改革担当相を下し、自民党の新総裁に選出された岸田文雄氏。経済の立て直しが求められる今後の政策運営を巡り、まずは新型コロナウイルス感染再拡大の封じ込めがカギを握るとの見方がエコノミストから出ている。

エコノミストの見方

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト:

衆院選もにらみ、コロナ対策で第6波をどう封じるかが当面のカギ。岸田氏は大型財政出動を主張しているが、感染が収束しない限り執行は難しい感染の収束とともにGoToキャンペーンのような観光振興策によって疲弊している個人消費を喚起する取り組みを進めていくことになるだろう金融政策はレジームチェンジを図る状況にない。政府と日銀の共同声明の取り扱いも、寝た子を起こすようなことが必要な状況にないもっとも、金融政策への関与は安倍政権よりも緩くなる可能性がある。感染を封じ込めて経済の高成長を達成し、政権が長期化すれば、財政再建や金融緩和の出口も視野に入ってくるだろう

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

大規模な経済対策を表明しているが、もともと財政再建論者。経済情勢がどうなれば財政再建を重視した政策に転換していくのかは一つの注目点政権交代直後は大型財政を出動するのが慣例で、30兆円程度が財政出動の目安になるのではないか当面は金融緩和継続としても日銀政策委員の動向次第で変わっていくだろう。22年に片岡審議委員が任期を迎えるが、再び筋金入りのリフレ派が任命されるのかに注目

UBS SuMi Trustウェルス・マネジメント日本地域CIOの青木大樹氏:

岸田総裁の誕生自体、市場への影響はニュートラル次の衆院選に向け世論が岸田氏支持なら安定した政権運営が可能、ワクチン普及も早いペースで進んでおり、日本株は年末に向け上昇余地があろうデジタル、科学技術、企業再編の中で成長と分配の好循環をどう社会、市場に示すのか、内閣にどのような人材を登用するかで政策への期待が進む金融資産課税と絡む令和版所得倍増計画で増税となったり、再分配のところで金融取得課税を引き上げるとしたらネガティブな材料

大和総研の神田慶司シニアエコノミスト:

数十兆円規模の経済対策に言及している。経済対策で公助が拡大するなら、10−12月期のGDPはより加速しやすくなる25年度PB黒字化は必ずしも達成する必要はないとの柔軟な考えの持ち主。もともと達成困難だとみているが、来年にかけ目標再設定もあり得る分配面を強化する具体的な政策を出している。分配面を強化する際に、はたして家計が本当に潤い、財政規律も保ちつつ経済を回すことができるのか、そこを期待したい

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