(ブルームバーグ): 10月1週(4ー8日)の日本株は下値を固める展開が見込まれる。岸田新政権や経済正常化による景気回復への期待が相場の支えになる。金利の高止まりや米連邦債務上限問題など外部環境の悪化を嫌気した売りが一巡した後は見直し買いが入りやすい。

  自民党新総裁となった岸田⽂雄⽒が4日召集の臨時国会で首相に選ばれた後、組閣や所信表明演説など政治面でのイベントが相次ぐ。次期衆院選での自民党善戦による株高期待はなお継続しやすく、緊急事態宣言が全面解除になり経済も正常化に向かう。セブン&アイ・ホールディングスなど小売中心に2月決算企業の決算発表の予定もあり、業績期待も高まりやすい。

  ただ米財政上の問題はくすぶる。暫定予算は9月末に成立したものの、政府のデフォルト(債務不履行)につながりかねない連邦債務上限問題はまだ解消されていない。米国株はバリュエーション水準が高いことから、もし調整が長引けば日本株にも悪影響が及びかねない。

  米国では高インフレなどを背景に前週の長期金利は一時1.5%台まで上昇した。サプライチェーン障害などから景気回復の勢いが鈍る中での金利上昇は投資家心理を冷やす。米国で5日発表の9月の供給管理協会(ISM)非製造業総合景況指数は前月の61.7から59.8に鈍化する見通しだ。

  もっとも、8日公表の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びは前月の23万5000人から50万人へ改善する見込み。6日にADPリサーチ・インスティテュートが発表する米民間雇用統計の内容を受けて米国株が下げ止まれば、政治・経済の両面から日本株の押し目買い機運は強まる可能性がある。9月5週のTOPIXは週間で5%下落した。

《市場関係者の見方》

 アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャー

  株価が下げ止まり、落ち着きどころを探ると想定している。米国は政府財源が枯渇する期限が迫っており、早急に結論が出なければそれを口実にナスダックを中心に利益確定売りを出す投資家が出るだろう。米景気はスタグフレーション的な様相を呈しているだけに、テーパリングや利上げの株式市場への影響度も大きくなりやすい。日本株は大幅な調整となったものの、収益方向や景況感、バリュエーションからみて上値修正余地はまだ残っている。海外に比べた日本株の優位性は衰えておらず、下値は限定的とみている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト

  短期的な不透明感が強いなかで上値は重く日経平均は2万8000円台の推移を予想する。米国の債務上限問題や3.5兆ドル法案など、ぎりぎりの交渉が続きそうだ。米雇用統計を週末に控え動きにくい。ただ、中期的には年末に向け明るい材料は多く、一段と下がったところでは押し目買いも入るだろう。米債務上限問題の最終的なデフォルト回避、コロナ感染減による世界的な経済改善、中国政府が預金準備率の引き下げなどで景気減速に歯止めをかける、といった可能性は期待できる。国内の経済再開や新政権への経済対策も根強い。

 

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