(ブルームバーグ): 新型コロナウイルス禍からの景気回復の途上にあって、既に脆弱(ぜいじゃく)さを露呈している中国経済が、執拗(しつよう)なドル高という新たな課題に直面している。

  中国外国為替取引システム(CFETS)人民元指数を基にしたブルームバーグのレプリカによれば、人民元は9月、貿易加重ベースで8カ月ぶりの大幅上昇を記録。ドル高がその一因だ。24通貨に対する人民元の動きを測る同指数は、相場管理の厳しい人民元より他の新興国通貨の方がドルに対して大きく下げていることを示している。

  HSBC銀行によると、今のところ中国の輸出需要は引き続き強いが、人民元の他通貨に対する上昇は世界の市場における中国製品の競争力を弱めるリスクがある。コロナの新規感染増加や電力危機、規制強化に加え、元高も中国経済の重しになる可能性がある。同行の外国為替シニアストラテジスト、王菊氏は「ドル指数上昇に伴いCFETS指数が受動的な形で強まり、それが中国の輸出競争力を損ねる」とみている

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジア調査責任者クーン・ゴー氏は人民元を「テフロン」に例えた。人民元が対ドルで下落するのは米中間の緊張が大きく高まった場合だけだろうと予想。「中国絡みの過去の懸念とは異なり、今回は資本流出の兆候はない」と指摘した上で、他の新興国通貨に対して人民元がさらに上昇し得るとの見方を示した。

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