(ブルームバーグ):

塩野義製薬の手代木功社長は6日、同社が年内の承認申請を目指す新型コロナウイルス感染症の経口治療薬(飲み薬)について、今月中に商用生産を開始するほか、グローバル展開に向けて海外の製薬会社とパートナーシップの交渉を始めていることを明らかにした。

  手代木氏はブルームバーグのインタビューで、同社が開発する低分子治療薬は生産工程が多く承認を待たずして早めに作り始める必要があると説明した。その上で、グローバル展開の実現後は、最大で年間約20億ドル(約2230億円)の売り上げが見込めると話した。

  現在海外の製薬会社6−7社と協議しており、受け取る一時金の額よりも、より早く製品を供給できる生産体制や供給の能力などをパートナー選びで重視しているという。

  手代木氏は「1人でも多くの患者さんに提供することに、どれだけ前向きに取り組んでいただけるかでパートナーシップを決めていきたい」と語った。

  同社は9月27日に同治療薬の開発の最終段階となる第2、3段階の臨床試験を国内で始めており、軽症者の症状回復までの時間や無症状者の発症割合などを見た上で12月に結果を評価する。

  並行して生産拠点の整備も進め、来年3月末までに国内で100万人分以上、2023年3月期には年600万−700万人分の生産体制を確保する見通しだ。グローバル展開の加速にはさらなる生産能力の増強も必要になる。

開発競争

  塩野義のほか、海外では米メルクやファイザー、スイスのロッシュ(中外製薬が日本で独占開発・販売)がコロナ治療薬の開発競争に参戦している。最終の臨床試験で先行するメルクは、年内に1000万人分を生産する予定を発表しており、6月には治療薬170万人分を米政府が12億ドルで購入することで合意している。

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  手代木氏は、治療薬の価格設定の際には、先行するメルクが米政府と1人分約700ドルで買い取り契約を締結したことは開発に投じた仕事の量とリスクを鑑みると高価ではなく、「スターティングポイントとしてとても妥当」だとし、「製薬会社としてやはり一定のご褒美」は必要との見解を示した。

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  現在はそれぞれ単独で治療薬の開発を進めているものの、ウイルスが治療薬に対して耐性を持ってしまう可能性があることを見据え、ウイルスに作用するメカニズムが異なる治療薬を開発している競合のメルクなどと連携することも「十二分にあり得る」と話した。

  塩野義薬の株価は8日、一時前日比2.8%高の7492円と反発している。

(最終段落に株価の変動について追記して記事を更新します)

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