(ブルームバーグ): 市場参加者が推測する長期の期待インフレ率を反映し、債券市場が最も注視する指標の一つを見ると、米連邦準備制度が物価上昇圧力のコントロールを失う危険にさらされている可能性がうかがえる。

  「5年先スタート5年物フォワード・ブレークイーブンインフレ率」は過去約7年間にわたり上回ったことがない水準に近づいており、この指標がそのような警告を発するのは、最近数カ月では5月に続き2度目だ。

  ニューヨーク連銀の元金融・金融市場分析責任者で、5年先スタート5年物フォワード・ブレークイーブンインフレ率を金融政策の指針として用いることを提唱したブライアン・サック氏も、5月の同指標上昇を受け、政策調整のシグナルを発する必要性について米金融当局に警鐘を鳴らした。

  連邦準備制度の当局者らは資産購入のテーパリング(段階的縮小)検討を開始すると6月に伝え、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)後には、テーパリング開始の決定を11月にも発表するお膳立てを行った。

  だがエネルギー価格高騰のスパイラルと賃金の上昇を背景にブレークイーブンインフレ率は再び安定を失った。早期のテーパリング開始は確実と思われる状況で、それ以外の連邦準備制度のタカ派傾向は利上げのタイミングを巡るものにならざるを得ないだろう。

  ドイツ銀行のフランシス・ヤレド氏を含むストラテジストチームは8日のリポートで、「ブレークイーブンインフレ率はルビコン川を渡ろうとしている。消費者のインフレ期待は低インフレのレジームを今や明らかに脱した」と指摘し、5年先スタート5年物フォワードは「250ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のドアを再びノックしている」と分析した。

  サック氏も考案に関わった連邦準備制度の5年先スタート5年物フォワード・ブレークイーブンレートの最新アップデート(10月1日時点)の数字は2.28%。今年5月11日には2014年2月以降で最も高い2.55%に達した。ブルームバーグが開発し、より頻繁に更新される同種の指標は今月8日時点で2.36%と、1日の2.24%から上昇した。

 

 

 

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