(ブルームバーグ): 13日から始まる大手米銀決算で投資家が注目するのは、新型コロナウイルス禍の期間を通じて伸び悩んできたローンが再び拡大し始めている兆候だ。

  コロナ危機中は政府の経済対策による給付がローン需要を抑えていたが、中小企業や個人が借り入れを再開しつつある初期の兆候をウォール街幹部は指摘し始めた。ゴールドマン・サックス・グループやキーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリストらは、大手行が今週発表する7−9月(第3四半期)決算が、ローン拡大に関する転換点を示すとみている。

  ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏はインタビューで「ローンの伸びが近く始まることは確実だ。ソフトな転換点だ」とし、「自動車に例えれば、ギアがリバースからローに入ったところだ」と語った。

  とはいえ、ローンの伸びは銀行ごとに異なる見込みで、大手4行の合計は前年同期比でほぼ変わらず、前四半期からわずかに増加する程度とアナリストは予想している。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、JPモルガン・チェースとシティグループはそれぞれ前年同期比5.4%増と5.3%増が見込まれる一方、ウェルズ・ファーゴでは8.5%減、 バンク・オブ・アメリカ(BofA)では3.3%減るとみられている。前期比では0.3%減のウェルズ・ファーゴを除き増える見通し。

  JPモルガンとBofA、 シティ、ウェルズ・ファーゴにモルガン・スタンレーとゴールドマンを加えた6行の収入は合計で約1120億ドル(約12兆7000億円)と前年同期から3%増加の見込みだが、増収が予想されているのは3行だけ。

  他の業務分野では、企業の合併・買収(M&A)助言が好調と見込まれる。ブルームバーグがまとめたデータによれば、特別買収目的会社(SPAC)との合併を含めた7−9月のM&Aは少なくとも5年ぶりの高水準だった。シティとゴールドマンが主導し、助言手数料収入はほぼ全ての銀行で2倍になったとアナリストらは想定している。

 

  一方で、トレーディング収益は前期比、前年同期比ともに6大銀行全体で減少する見通し。1年前の債券・通貨・商品(FICC)トレーディング収入は新型コロナ禍による債券市場混乱の恩恵を受けていた。ただ、株式トレーディング収入は6行の平均で前年同期比14%増えると、ドイツ銀行のアナリストらは見積もっている。

  純金利収入(NII)は7−9月も低迷が見込まれる。ロバート・W・ベアードのデービッド・ジョージ氏らアナリストは今月の調査リポートで「NIIの回復と銀行によるNII見通しが、この決算シーズンで最も重要なファンダメンタルファクターだ」としている。

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