(ブルームバーグ): 中国の景気減速で財政刺激策が再び注目されているが、政府はまだ国庫の蛇口を開いていない。

  米政府が債務上限の引き上げを進め、他国・地域が新型コロナウイルス禍に見舞われた経済を支えるため緩和的な財政政策を続ける一方、中国の財政赤字は目標よりはるかに小さくなる可能性があり、約40年ぶりに財政均衡を達成することすらあり得る。

  今年に入っても力強い回復を遂げていた中国経済だが、今はさまざまな側面から打撃を受けており、財政支援の欠如が明らかに問題となっている。

  財政政策引き締めの背景には、経済全体の金融リスク低減のため無駄な支出と地方政府の債務を減らそうとする中央政府の取り組みがある。景気減速で歳入が既に圧迫されている地方政府にとって、主な収入源である土地売却が不動産市場の問題で抑制されていることも一因だ。

財政赤字

  財政省のデータによると、中央・地方政府の支出は8月末までで約21兆5000億元(約378兆円)と、年間目標の56%程度にすぎない。

  中国政府は3月、今年の財政赤字がやや縮小し3兆6000億元になるとの見通しを示した。

  目標が設定された時点では経済が潜在成長率に近いペースで拡大しており、当局が政策正常化を検討するのは適切だったとスタンダードチャータードの中国担当チーフエコノミスト、丁爽氏は指摘。「政策担当者は当時、規制強化や不動産部門の締め付け、自然災害など、その後起きたことを想定していなかった」と述べた。

債券発行

  地方政府による年初来の債券発行ペースは昨年より落ちており、9月末時点で通常債も特別債も前年同期を下回っている。特別債の発行はインフラ整備が目的だが、地方政府はここ数年、資金を投じる価値のあるプロジェクトをなかなか見つけられないでいる。

 

不動産業界

  中国恒大集団の債務危機に伴う最近の不動産市場低迷に加え、土地価格の抑制策により地方政府がプロジェクトの資金を賄うため土地を売却するのが困難になっている。最新のデータによると、土地売却による政府収入は8月、前年同月比で減少。こうした状況が年内続けば、地方政府の財政に大きな悪影響が及ぶ。

  国務院は先月、「市場の合理的期待を安定」させるため、財政・金融・雇用政策のより良い協調に向けた取り組みが求められると指摘した。

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