(ブルームバーグ): 中国は1年足らずの間に世界最大のインターネット空間をひっくり返した。ネット業界で中国最大級のアリババグループとテンセント・ホールディングス(騰訊)は規制の嵐に巻き込まれデータとコンテンツに対する影響力を弱めた。

  米アップルは今のところほぼ無傷だ。だが、それも変わるかもしれない。中国の習近平国家主席は大手テクノロジー企業に対する広範な締め付けを続けており、競争を妨げているとして、ソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」のようなプラットフォームを取り囲むデジタルの壁を解体するよう指示。中国の最高裁に当たる最高人民法院は先月、市場での支配力乱用の有無を巡りアップルを訴える権利を消費者に事実上与えた。 

  アップルの時価総額2兆4000億ドル(約272兆円)の大きな部分を支えているのが、「iPhone(アイフォーン)」最大級の買い手である中国だが、習主席の取り組みはアップルが中国で培ってきた微妙なバランスを脅かしている。米アルファベットのグーグルや米フェイスブックは、中国市場から締め出されており、アップルは中国で最も稼ぐ米企業の1社だ。

  中国当局はこれまで自国の大手テクノロジー企業の影響力を弱めることに焦点を絞ってきた。習主席が総書記として率いる中国共産党を長期的に脅かす強大な影響力をこうした企業が持ちつつあると恐れたからだ。だが党最高幹部が米国の利益を追うことをためらっているということは決してなく、米中間の緊張も高まっている。

  カナリスの彭路平バイスプレジデント(モビリティー調査担当)は「中国の市場環境に適応するには違うやり方が必要だ」と指摘。「いかなるタイプの独占的活動にも陥らないよう細心の注意を要する。中国政府が注意深く見ているためだ」と話す。

  アイフォーンの「アップストア」は、アプリを販売する開発事業者から30%の手数料を得ている。人気ゲーム「フォートナイト」を手掛ける米エピックゲームズは今年、これが独占的行為に当たると主張し、米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁にアップルを提訴。同地裁はアップルにアプリ市場運営方法の変更命じる判決を9月に下した。

アップルにアプリ市場運営方法の変更命じる−米連邦地裁が判決 

 

  最高人民法院は同月、 アップルのアプリ手数料が不当だと主張する1人の消費者による申し立てを受け入れ、同様の訴訟と共に審理を進めることを認めた。

  アップルは最高人民法院の判断やこの記事に関するコメントを控えている。同社はアップストアがセキュリティーと安心感をユーザーに提供し、開発者に世界中のアプリを紹介する場となっていることから、手数料は正当なものだと主張している。

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