(ブルームバーグ):

日本銀行が27、28日に開く金融政策決定会合では、現行の金融緩和策の維持が見込まれている。日本経済は新型コロナウイルス感染者の減少で経済活動が再開する一方、供給制約が重しとなっている。資源価格が上昇する中で円安も進んでおり、新たな経済・物価見通しから政策運営の行方を探ることになる。

  エコノミスト49人を対象に19−22日に実施した調査によると、48人が今回会合で金融政策の現状維持が決まると予想した。次の政策変更は2023年以降に金融引き締めを行うとの見方が76%を占めた。会合後には声明文と新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表され、黒田東彦総裁が午後3時半から記者会見する。 

注:実質GDPとコアCPIの見通しは、日銀の7月展望リポートにおける政策委員見通しの中央値

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、金融政策運営について「デルタ株を中心とするコロナの感染動向やワクチン接種の効果、行動制限措置緩和の影響などを見定めるべく、日銀は様子見姿勢に徹すると見込まれる」としている。

展望リポート

  展望リポートでは、夏場の新型コロナの世界的流行を受けた公衆衛生上の措置の強化や、東南アジアの部品工場の操業停止に伴う自動車を中心とした生産の下押しを新たに織り込む。一方で経済活動は段階的に再開され、世界的な需要の強さも継続しており、先行きはリベンジ消費や挽回生産による景気押し上げも期待されている。

  複数の関係者によると、日銀は21年度の実質経済成長率と消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の下方修正を検討する見通しだ。先行きの景気回復シナリオは維持できるとみており、22年度の成長率については引き上げも視野に入っている。

日銀が21年度の成長率見通し引き下げ検討、物価も−関係者

  原油など国際商品市況の上昇が続く中で円安も進行しており、企業収益や個人消費への影響に関する日銀の分析と見解も注目される。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「資源価格の高騰下での円安進行は企業や家計の所得を減らす方向に働きやすい」との見方を示す。

他のポイント

東南アジアの工場停止に伴う供給制約の強まりは、輸出・生産活動に加え、自動車を中心とした個人消費にも影響を与えている。景気の総括判断を慎重化させるかどうかも議論になる可能性岸田政権発足後、初の決定会合。首相は「成長と分配」を掲げ、数十兆円規模の経済対策の策定を表明している。来年3月末が期限のコロナ対応の資金繰り支援策の扱いを含め、政府と日銀の連携への関心も高い世界的にインフレ長期化の懸念が強まる中、米欧の中央銀行はコロナ危機に対応した金融緩和措置の手じまいに乗り出している。物価低迷が続く日本との相違や主要国中銀の金融政策運営に関する見解も注目される成長基盤強化を支援する資金供給オペによる米ドル資金供給で、貸付利率の参照指標を6カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)から、米当局が推奨する担保付翌日物調達金利(SOFR)基準に切り替えを議論も

現在の政策運営方針

日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用長期金利がゼロ%程度で推移するよう上限を設けず必要な額の長期国債を買い入れ。許容変動幅は上下0.25%程度ETFとJ−REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じ買い入れCPや社債などは22年3月末までの間、合計約20兆円の残高を上限に買い入れ

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