(ブルームバーグ): SBIホールディングスの北尾吉孝社長は22日午前、都内で記者会見し、株式公開買い付け(TOB)によって連結子会社化した新生銀行が抱える公的資金3500億円の返済について、株価上昇による返済は困難だとして、同行を非上場化した上で返済することも「有力な選択肢」との認識を示した。

  現在、新生銀議決権の約22%を握る実質的な筆頭株主である政府が公的資金を回収するためには、1株当たり約7500円での保有株売却が必要になる。

  北尾社長は、子会社化によって株式の流動性が低下する中での新生銀の大幅な株価上昇は容易でないと述べ、「株価との関係を切り離して考えるべきだ」と指摘。新生銀を非上場化した上で3500億円を返済する手法も選択肢の一つだとして、今後、国側と具体的に協議していく意向を示した。

  SBIは10日まで実施していた1株2000円でのTOBによって新生銀株式の保有比率を約20%から47.77%に高め、17日付で子会社化した。北尾社長は「TOBは非常に満足のいく結果に終わった」と評価した。

  新生銀は2022年2月初旬をめどに臨時株主総会を開き、SBIが取締役会長候補として推薦している元金融庁長官の五味広文氏らの選任を諮る予定。取締役社長候補であるSBIの川島克哉副社長らは近く新生銀顧問に就任し、現経営陣から事業運営に関する引き継ぎを行う。

  また、新生銀による自社株買いなどで、今後SBIの議決権比率が50%を超えた場合、直接の親会社である中間会社のSBI地銀ホールディングスが銀行持ち株会社の認可を申請することになるとした。ソニーグループなど事業会社傘下の銀行の扱いと同じく、新生銀の資産が相対的に小さければSBI本体を銀行持ち株会社化する必要はない。完全子会社化の緊急性は低いとしている。

3年での決着を指示

  北尾社長は会見で、公的資金返済、銀行持ち株会社化などの時間軸について「まずやるべき優先順位はきちっとした役員を送り込んで向こうの経営を把握することだ」と述べ、新生銀の臨時総会前に「デューデリジェンス(買収先企業調査)を進める。その中で時間的な優先順位の付け方は代わり得るが、銀行持ち株会社化は必ずやる」とした。

  北尾社長は、川島氏に「3年で決着させて戻ってこいと言っている」と明かし、後継社長は新生銀の内部昇格を考えているとした。自身の任期についても、SBIの社長を続けるのは「せいぜい3年ぐらいだ。会長として君臨するかもしれないが」と言及した。

  SBIが掲げる地方銀行との連携による「第4のメガバンク構想」については、新生銀を中核と位置付け、ノンバンク事業を持たない地域金融機関向けに新生銀の持つ消費者金融やリースなどのサービスを提供する考えだ。北尾社長は「莫大な資金を使って新生銀と関係を持った。SBIの企業価値も向上しないと意味がない」とも述べ、新生銀のノンバンク事業をさらに拡大する考えも示した。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一シニアアナリストは「非上場化案に言及したものの、具体的なスキームは見えておらず不透明感が強い。会見前と比べて公的資金返済への道筋が前進してはいない印象だ」とコメントした。

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