(ブルームバーグ): ソフトバンクグループが8日に発表した7−9月期(第2四半期)の純損益は3979億円の赤字となった。赤字は6四半期ぶり。韓国のクーパンや中国の滴滴グローバルなど上場投資先で評価損を計上したことなどから、ビジョン・ファンド事業は1兆円を超す赤字となった。

  発表資料によると、ソフトバンクG本体も含む投資損益の合計は1兆6583億円の赤字。前年同期は1兆504億円の黒字だった。ビジョン・ファンドの投資損益は前年同期の1兆401億円の黒字から1兆1671億円の赤字に転落した。ファンド事業のセグメント損失は8251億円。前年同期は7844億円の黒字だった。

  第2四半期は出資先企業の株価が不振で、ビジョン・ファンド1号と2号での評価損計上が業績の足を引っ張った。韓国電子商取引のクーパンは同四半期に33%下落し、中国では配車サービスの滴滴が45%、オンライン不動産取引プラットフォーム運営の貝殻找房(KEホールディングス)が62%下げた。中国では7月以降、インターネット業界に対する半年間の集中取り締まりなど規制強化の動きが広がった。

  ビジョン・ファンド1号では9月末時点で81銘柄保有し、投資額合計721億ドルに対して保有投資先の公正価値合計は1046億ドル。2号ファンドは157銘柄を保有し、投資額合計335億ドルに対して公正価値合計は370億ドル。2号ファンドのソフトバンクGの出資コミットメント総額は420億ドルとなっている。

  ビジョン・ファンドは2020年3月期の1−3月(第4四半期)に1兆1159億円の赤字を計上したのを最後に、5四半期にわたり黒字を続けてきた。ソフトバンクGの自己資本のみで運営している2号ファンドの始動からおよそ1年が経過し、国内企業への投資も開始した。

  国内のバイオベンチャー企業であるアキュリスファーマ(神奈川県・藤沢市)は10月、68億円を調達したと発表。神経や精神疾患への新薬を開発するアキュリスへの出資はビジョン・ファンドが主導し、三井住友トラスト・インベストメント、Anriなど国内外の投資家が参加した。

アマゾンやTSMCが保有リストから消える

  一方、ソフトバンクGの運用子会社が行っている米国の現物株投資の公正価値は、9月末時点で49億8700万ドルと6月末の136億ドルから減少。デリバティブの公正価値も11億3700万ドルと22億ドルから減少した。現物株投資では、6月末時点で記載のあった米アマゾン・ドット・コムや台湾積体電路製造(TSMC)などが9月末時点の保有リストから消えた。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は決算発表後の取材で、「ポートフォリオの中身が問題だ」と指摘。絶好調の米国株も含まれる半面、下がっている中国株も入っており、「問題は中国企業の方向性が分からないことだ。米中の対立は続くので、今後も中国株保有はリスクとしてあり続ける」と述べた。

  自社株買いの発表がなかったことについては「そこは本質でない」と話し、昨今の株価下落の要因は投資家が中国リスクを感じていることだとの見方を示した。 

(ビジョン・ファンドの詳細などを追記します)

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