(ブルームバーグ): 日本経済は2021年7−9月期に2四半期ぶりのマイナス成長になったとみられている。新型コロナウイルスの感染急拡大で個人消費が大きく落ち込んだ上、供給制約による自動車の減産で輸出が鈍化したことも影響した。ただコロナ感染者数は大幅に減少しており、10−12月期はプラス成長に戻るとの見方が多い。   内閣府が15日発表する実質国内総生産( GDP)速報値は、ブルームバーグ調査の予想(中央値)で前期比0.2%減、年率0.7%減が見込まれている。 

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、マイナス成長の主因として個人消費と輸出を挙げた上で、部品不足で設備投資も減少したと予想。供給制約は10月以降改善したものの、10−12月期に影響が残る可能性があると指摘した。

  伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、東京五輪期間中に一部で家電の買い替えやグッズ販売は進んだが、それ以上にコロナ感染拡大の影響が大きく五輪効果は「完全にかき消された」と語った。9月以降に個人消費は回復へ向かったものの、戻りきれなかったという。

  デルタ変異株が流行する中、全国のコロナ感染者数は8月に1日当たり2万5000人超を記録。東京都などの緊急事態措置の下で外食や小売業界は時短営業、消費者も不要不急の外出など行動自粛を求められた。製造業では半導体の不足や供給網の混乱で自動車各社が減産を迫られ、大手日系メーカーの9月の世界販売は三菱自動車を除く6社が前年同月比2桁の落ち込みとなった。

  もっとも、コロナ感染者数の減少に伴い10−12月期はプラス成長に戻るとエコノミストらはみている。ブルームバーグが集計した成長率の予想(中央値)は前期比年率4.1%。

  IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは、緊急事態措置の全面解除後の10−12月期は個人消費だけでなく生産も回復に向かうとみている。トヨタ自動車の12月の生産計画が高いことに触れ、前期比年率でプラス6.7%成長を予想した。

  10−12月期に年率4%程度への回復を見込む伊藤忠総研の武田氏は、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の中で分配に注目。経済が戻ればコロナ前の人手不足議論が再燃し、「賃金が上がる」と予想する。さらに、脱炭素を進める企業への支援や公共投資など「経済対策は景気を加速させる効果が十分にあると思う」と語った。

  政府は19日、困窮世帯などへの現金給付や賃上げ企業に対する税優遇などを盛り込んだ数十兆円規模の経済対策を取りまとめる。岸田首相は10日の会見で、「成長への投資と改革を大胆に進め、その果実を国民に実感してほしい」と語った。財源の裏付けとなる補正予算は年内の成立を目指す。

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