(ブルームバーグ): 小林鷹之経済安全保障担当相は、政権が重要政策に掲げる経済安保体制強化の下でも「企業活動、ビジネスは原則は自由だ」との立場を強調した。規制に対する民間企業の懸念に配慮する姿勢を見せた。

  25日のインタビューで、自由な企業活動なしで「わが国の繁栄はないと思っているので、そこは大切にしたい」と説明した。サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化についても「民間企業としっかりコミュニケーションを取ってやっていかないといけない」と明言した。

  一方、グローバル化が進む中、「どうしても副作用のようなものが出てくる」とし、安全保障に影響する海外からの投資については「しっかり見ていくのは国家として当然の話」とも指摘。企業活動と規制の「どうやってバランスを取っていくかという話だ」と話した。

  経済安全保障政策の強化で影響を受ける中国との関係については「特定の国を念頭に置いている訳ではない」と述べるにとどめた。 

  同盟国である米国と中国の対立が表面化し、日本の安全保障政策も経済面に広がりを見せている。岸田文雄政権は経済安保体制を強化するための法案の来年の通常国会への提出を目指しており、サプライチェーンの強靱化、基幹インフラの機能維持、特許の非公開化、先端技術基盤の確保が柱となる。財務省出身の小林氏は、岸田首相が新設した経済安保相として初入閣した。

  経済安保政策として、国内での重要技術や産業育成も重視する。国家戦略上、重要と位置付ける分野では、民間企業への支援も進める考えで、人工知能(AI)や量子技術、バイオなど各国が技術を競う分野では「日本も当然勝負していかないといけない」と話した。

TSMCの先

  政府は、安全保障上の重要製品である半導体製造支援にも本腰を入れ始めた。経済対策に先端半導体工場の国内立地への支援を盛り込み、日本企業の半導体売上高を2020年の4兆5000億円から30年に13兆円まで増やすことを目標にしている。日本での工場建設を決めた台湾積体電路製造(TSMC)に対して補助金を出す。 

  小林氏は、日本企業は素材や半導体製造装置に強みがある反面、先端半導体の製造拠点が国内になく、TSMCがソニーグループと連携して投資することは「経済安全保障上、非常に大きな意味がある」と歓迎。国内半導体産業の再生に向けては「足元のTSMCの話にとどまらず、その先に何をやっていくかも当然国家として考えていかなければいけない」と述べた。

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