(ブルームバーグ): 10月にローマで行われた20カ国・地域(G20)首脳会議の合間に、ドイツのメルケル首相は次期首相に就任する方向のショルツ財務相に対し、新型コロナウイルス対策の厳格化が必要になるかもしれないと注意を促した。この警告をショルツ氏は無視。そのツケをドイツは今、払わされている。

  このG20首脳会議で、メルケル氏はショルツ氏を他国首脳に紹介していた。メルケル氏は感染が拡大しつつあった新型コロナへの対応として、国内16州の首相を招集する会合の開催をショルツ氏に提案していたが、事情に詳しい関係者によると、同氏は不要だとして取り合わなかった。

  ドイツではその後、猛烈な勢いで感染が拡大し、ショルツ氏は政権が実際に発足する前から立場を弱めることになったが、このきっかけをつくったのはリーダーシップの欠如だった。

  ショルツ氏は水面下で、自身が所属する社会民主党(SPD)の州幹部らに対し、新たなコロナ対策を話し合う会議を求めるメルケル氏の呼び掛けに応じないよう指示していた。部外秘の内容だとして匿名を要請した複数の関係者が明らかにした。メルケル氏の報道官はコメントを拒否。ショルツ氏の報道官は今のところコメントの要請に応じていない。

  一方でSPDは全国的な制限措置の必要性を否定し、次期政権の連立交渉をしてきた緑の党、自由民主党(FDP)とともに、メルケル政権が導入したパンデミック対策の緊急措置の解除を目指して動いた。

  総選挙で自らの政党・キリスト教民主同盟(CDU)が敗れて影響力を行使できなくなったメルケル氏はそれ以上の働き掛けをやめ、秋の大半を各国首脳らへの退任あいさつに費やした。ショルツ氏は連立候補の2党と政策のすり合わせや閣僚ポストの割り振りに明け暮れた。

  両者が注意を怠った間に事態は悪化し、11月5日にはドイツの感染率は過去最悪を更新。それ以降も感染拡大は止まらず、今や全面的な危機へと発展した。

Merkel and Her Successor Played Politics and Let Covid Run Wild(抜粋)

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