(ブルームバーグ): 米中両国の2022年の金融政策は異なった方向に進むことになりそうだ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局が約40年ぶりの高インフレ抑制に向け事実上のゼロ金利解除に向かう一方、中国人民銀行(中央銀行)は不動産市場締め付けが重しとなっている経済の下支えに動くと予想される。人民銀は20日、ローンプライムレート(LPR)1年物を1年8カ月ぶりに引き下げた。

  このうち米利上げは同国の需要を圧迫する見通しなのに対し、人民銀の政策は低迷する景気の刺激というよりは緩衝にとどまる見込みで、米経済が今年の中国に続いて減速すれば、両国の成長率は近づき始める可能性がある。ただ米中金融当局にとって、新型コロナウイルスのオミクロン変異株が新たな不確定要素ではある。

  米中いずれの金融当局の政策転換もリスクを伴い、国際的な資金の流れに影響を及ぼすことが考えられる。米金融当局のタカ派転換がドル高や米中金利差縮小、投資家によるポートフォリオのリバランスにつながれば、人民元高や中国への記録的な外国資金流入も試されることになりそうだ。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバルリサーチの大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏は「米金融当局がもっとタカ派的な姿勢に転換し、人民銀が緩和するのであれば、米中の金融政策の相対的な引き締まりを巡る期待に変化があるだろう」と述べ、「人民元には対ドルで多少の下落圧力がかかり始める可能性があり、直ちに影響があるのは為替相場だ」との見方を示した。

  それがどの程度となりそうかは米金融当局が進める引き締めのペースや、中国がどこまで緩和策を講じるかに大きく依存する。エコノミストは今のところ、米金融当局が計画通り資産購入のテーパリング(段階的縮小)を完了し、22年中の3回の利上げ見通しを実行すると予想している。

  中国を巡っては、過去1年近くにわたる信用の伸び鈍化の後、人民銀が伸びを加速させるとアナリストは見込むとともに、今後数カ月に銀行の預金準備率のさらなる引き下げがあるとの観測が高まっている。

  中国では利下げを求める声が勢いを増している。それは米中債券利回りの格差縮小につながる。人民銀は20日、LPR1年物を0.05ポイント引き下げ3.8%とすると発表した。  

  トロント・ドミニオン銀行の新興国市場アジア・欧州担当チーフストラテジスト、ミタル・コテチャ氏は、米中金融政策の方向性の相違は中国への資金流入の減少につながるかもしれないと指摘しつつも、「その影響は以前よりも抑制気味となる公算が大きい」と話した。

  中国の貿易収支は少なくとも22年上期(1−6月)にかけて黒字拡大基調が続く可能性があり、その場合、人民元相場の下支えとなるとともに、人民銀には多少の元安容認の余地が生じる。一方、資本規制の強化は、5年前のような多額の資金流出の再燃を防ぐことになりそうだ。

  メイバンク・キムエン・リサーチのシニアエコノミスト、チュア・ハクビン氏は米中金融当局の政策の相違について、両国の成長率が近づいていくとともに、世界経済の過熱回避に寄与する可能性があるとしている。

(米中金融政策の違いが世界経済に及ぼす効果などを追加して更新します)

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