(ブルームバーグ): 自動運転車スタートアップ企業クルーズのダン・アマン最高経営責任者(CEO)は16日午後、ミーティングのさなかに米ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOから電話で解任を告げられた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。GMはクルーズの過半数株式を保有する。

GM自動運転部門クルーズのCEO退任−理由不明、時間外で株価下落

  部外者やクルーズ社員には突然に見えたこの出来事は、何カ月も前から下地があった。バーラ、アマン両氏は、クルーズがタクシーサービス投入に向け準備している画期的な自動運転技術の重点をどこに置くかを巡り意見が合わなかった。バーラ氏とGM取締役会はこうした技術を高級車キャデラックやリテール販売の自動運転車、新たな電動トラック部門の配送車製造に生かすことなど壮大なビジョンを提唱していた。こうした事業機会やその潜在的価値は計り知れない。

  かつてGM経営トップの座をバーラ氏と争ったアマン氏は、最終的にはこれら全てにオープンな姿勢を示したが、重要な項目で同意しなかった。まず、クルーズはその資産の利用を広げる前にタクシー事業開始に専念すべきだと考えた。また、有能な人材勧誘に向け株式を確保できるよう、早めのクルーズ上場をバーラ氏とGM取締役会に望んだ。アマン氏の見解に詳しい関係者2人が語った。 

  極論から言うと、こうした意見対立は支配権の問題だった。バーラ氏と取締役会が共有するビジョンは、GMがクルーズを切り離さないことで利益率の高いロボタクシー事業を確保するとともに、他の自動運転車・サービス展開に向けクルーズ資産により直接的なアクセスを得ることだった。クルーズはGMの運転支援機能も向上できる可能性もあった。ただこうした協業が十分うまくいっていたとは考えられていない。

  GM以外からも出資を受けるクルーズは法的に別の事業体だが、アマン氏(49)はバーラ氏とGM取締役会に支配される憂き目に遭った。GM側のビジョンと一致しなければ、終わりだった。クルーズがGMにとっていかに不可分な存在か、そしてバーラ氏が起用する新CEOの下でクルーズがどう運営される可能性が高いかがうかがえる。

  アマン氏に電話や電子メールでコメントを求めたが、返答はなかった。

  同氏の下、クルーズはパートナーのマイクロソフトやTロウ・プライス・アソシエーツ、ホンダ、ソフトバンクグループのビジョン・ファンドから60億ドル(約6800億円)余りの資金を集め、その価値を300億ドル超と評価されている。

GM’s Barra Dismissed Cruise CEO Ammann Over Mission, IPO Timing(抜粋)

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