(ブルームバーグ): 東京エレクトロン元社長で、経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略検討会議」座長を務める東哲郎氏は、日本の半導体産業の復活には今後10年で10兆円規模の官民投資や税制優遇措置など長期にわたる支援が必要とみている。

  東氏は20日のインタビューで、「最初は政府の支援がないと民間がお金を出す段階にならない。ある程度軌道に乗るまでは政府が中心でやっていく」と述べ、1年で1兆円規模の予算を一般会計予算に組み込んでいくことが重要だと強調。併せて研究開発費を法人税控除の対象にしたり、海外と比べコストが高い水道や電気料金を優遇するなどの支援策を検討していく必要があるとの認識も示した。

  多くの産業でデジタル化が進み、経済安全保障の観点からも半導体の重要性が増していることから、政府は2021年度の補正予算で半導体産業の基盤強化に向け7740億円を計上した。日本企業による半導体の30年の売上高を20年比約3倍となる13兆円まで引き上げる目標も掲げている。

  台湾積体電路製造(TSMC)はソニーグループの協力を得て、熊本県内に回路の線幅が20ナノメートル台の半導体工場を建設すると発表。半導体の性能を高める3次元実装技術の開発にも取り組んでおり、茨城県つくば市の拠点ではディスコやJSRなど半導体の装置や材料を生産する企業とも連携する。

  日本の半導体技術は現時点で台湾、韓国、米国勢に大きく後れを取っているが、東氏は「10年の計」で追い付き、追い越したい考えだ。背景には「日本の産業の基盤を確保しないと、頭脳が他に依存し、付加価値の部分を取られてしまう」との危機感がある。

  東氏は、今後はセンサーやデバイスからのデータを現場(エッジ)で処理するエッジコンピューティング技術を磨き、2、3ナノメートル級の微細化技術にも取り組む必要性を指摘。「量産化のための技術を25年までに作り、その上で量産化」することは「是が非でもやっていくという話」だと述べた。

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