(ブルームバーグ): 今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、議長国ドイツが提案する「国際気候クラブ」構想が議論される。気候変動対策で世界的な協力体制を敷くのが狙いで、同国は気候クラブ設立を最優先の議題と位置付けている。ただ、加盟基準の設定など具体的な制度設計が課題で、発足に向けては紆余曲折も予想される。

 

  国際気候クラブ設立構想は、2021年に当時財務相だったショルツ独首相が打ち出した。独連邦財務省の発表によれば、目的は「パリ協定の実現に向け国際的なレベルでのさらなる推進力を与えること」で、脱炭素への団結を広く呼び掛けることに主眼を置いた。

  ドイツの声明文から読み取れるのは、国や地域による取り組みの差から二酸化炭素(CO2)の削減に漏れが生じる「炭素リーケージ」への問題意識だ。パリ協定では全ての国が参加し、今世紀後半に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指している。

  特定の国だけが積極的にCO2排出量を減らしても、規制が緩い国の排出量が増えれば、結果的に地球全体の脱炭素は進まない。生産活動でCO2削減に消極的な国が安価な製品を輸出すれば、気候変動対策の厳しい国が産業拠点の流出などで影響を受ける可能性もある。

  こうした観点から、欧州連合(EU)では、環境対策が不十分な国からの輸入品に税を上乗せする「炭素国境調整措置」(CBAM)の導入を検討しており、ドイツもクラブ発足に当たって同様の制度を念頭に置く。

  ショルツ首相は19日、オンライン形式で開かれた国際会議「ダボス・アジェンダ」で「G7を国際気候クラブの中核にする」と表明。炭素に価格を付け排出者の行動変容を促すカーボンプライシングや、炭素リーケージ防止が必要と強調したが、クラブ加盟基準の定め方や、非加盟国への関税措置など詳細には触れなかった。

  東京大学未来ビジョン研究センターの竹本和彦特任教授は「共通課題への緩やかな政策協調を目的としてきたG7の成り立ちを考えると、懲罰的な要素や拘束力を持つ枠組みを立ち上げること自体、なじまない」と指摘。「議長国として自国のイニシアチブをアピールすることは可能だが、全体合意に至るかどうか現時点では読めない」と話す。

  ドイツは今年1年間、G7の議長国を務める。サミットは6月下旬に同国南部のエルマウで開催される予定だ。年内に結論が得られなければ、議論は来年議長国となる日本に引き継がれる。

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