(ブルームバーグ): 欧州のESG(環境・社会・企業統治)投資規則の曖昧な部分が問題となり、米国や英国のヘッドファンドマネジャーは法律専門家に頼らざるを得なくなっている。

  問題となっているのは、欧州連合(EU)の「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」で最も複雑な下部項目に、米英ファンドも準拠する必要があるのかという点だ。これは環境に悪影響を与え得る行動について投資会社に開示を義務付けた「主要な悪影響(PAI)」と呼ばれる部分で、米英のヘッジファンドは欧州で販売される商品にのみ適用されると考えていた。

  しかし今では欧州の顧客を対象としていない商品も含め、全社についてPAIリスクを報告する義務があるような様相となっている。

  世界の投資マネジャーを相手に助言サービスを提供する英ロンドンの法律事務所シモンズ・アンド・シモンズの弁護士、ルシアン・ファース氏は「極めて難しい問題だ」と指摘。PAIは「SFDRの中で最も難しく、厄介な部分だ」と話した。

  ファース氏は国際的なヘッジファンドやプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社による欧州のサステナブル金融規則順守を助けてきた。EU域外の投資会社にとって難解なコンプライアンス項目のうち、PAIを巡る混乱が最も大きいと同氏は指摘。業界の事業モデルを変える可能性もあるとの見方を示した。

  同氏によると、PAIが全社的に義務化される可能性を見込み、欧州外の大手ヘッジファンドの中には業務を再編し、事業の大半がこの規則の対象外となるよう別法人の設立を検討している企業もある。

  こうした企業は「ケイマンのヘッジファンドを欧州で売り続けたいとは考えるが、全社規模でPAIに従うのは負担が大き過ぎるため、それを強いられることは望まないし、そうはしないだろう」と、ファース氏は説明した。

  SFDR問題を扱う欧州委員会の広報担当者は、コメントの要請に応じなかった。

  一方で複数の欧州当局は、欧州外の投資会社がEUの顧客に販売する個別の投資商品だけでなく事業全体についてPAIに応じることに、疑いの余地はほぼないとしている。欧州証券市場監督機構(ESMA)の報道担当者ダン・ナクマノーレ氏は、EU外に拠点を置くオルタナティブ投資会社に対して「SFDRは企業レベルでの情報開示を求めている」と述べた。

 

Hedge Funds Hit by ‘Onerous’ ESG Rule Turn to Lawyers for Help(抜粋)

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