(ブルームバーグ): 中国の人工知能(AI)大手、商湯集団(センスタイム)が30日、香港に上場した。米政府による投資制限措置を巡る懸念で新規株式公開(IPO)が先送りされていた。

  ソフトバンクグループが出資するセンスタイムはIPO価格を仮条件の下限である1株3.85香港ドルに設定。15億株を発行し57億8000万香港ドル(約850億円)を調達した。30日の取引ではIPO価格を23%上回る場面があった。終値は7.3%高い4.13香港ドル。

  米財務省は今月、新疆ウイグル自治区の人権侵害にセンスタイムが関与している疑いがあるとして同社を投資制限の対象に追加。トランプ前政権時代には商務省から禁輸措置を受けていたセンスタイムは、米国の主張を強く否定している。

ソフトバンクG出資センスタイム創業者、3900億円の資産家に−30日上場

  UOBケイ・ヒアン(香港)のエグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏らマーケットウオッチャーはセンスタイム株の大幅高の一因として、短期の投機的な買いを挙げる。

  国信証券(香港)の程嘉偉バイスプレジデントは、「きょうの大幅上昇は妥当なバリュエーションが理由だろう。現時点で市場がホットなテーマを欠く中で、投資家はこうした有名銘柄を買って1日か2日で利益を上げることを望んでいる」と分析。「だが、センスタイムがなお多くの悪いニュースに直面する中、こうしたトレンドは続かないだろう」との見方を示す。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、中国当局による締め付けが複数の業界に広がった今年7月以降、香港に上場した中国企業の上場初日の上昇率は平均で1%。センスタイムより前に今月上場した9社平均では2.8%下げていた。

  センスタイムの徐立最高経営責任者(CEO)は米政府による投資制限が発表される前に収録されたブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、IPOで調達した資金の約60%を研究開発に振り向けると説明した。

  センスタイムはクライアントフェーシングAIモデルを訓練できるスーパーコンピューターの構築に重点投資しており、規模の拡大に伴い実を結ぶと期待される取り組みだ。同社の今年1−6月(上期)売上高は16億5000万元(約300億円)とほぼ倍増する一方、純損益は37億元の赤字と前年同期の53億元の赤字から縮小した。

(第2段落に終値を加えて更新します)

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