(ブルームバーグ): 2021年に新規株式公開(IPO)を果たした新興国・地域の企業は記録的な数に達した。しかし、22年は株式投資家にとって厳しい年になりそうだ。

  大半のIPO銘柄は株式公開後に値上がりしたものの、MSCI新興市場指数は年間で3年ぶりの下落で昨年を終えた。リスク資産の買い意欲低下が示唆されており、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染急拡大と金利上昇が今後数カ月の株式相場に課題を突き付けている。

  ブルームバーグの集計データによれば、資本ニーズの高まりと世界的な景気回復期待により、昨年は新興市場の1162社が自国もしくは国外の市場でIPOを実施。その規模は計2280億ドル(約26兆4000億円)に達し、前年から約31%増加した。

  運用資産約80億ドルのベスティンバー・アセット・マネジメントで投資を手掛けるイグナシオ・アルナウ氏(マドリード在勤)は「特に昨年前半、テクノロジー関連のIPOが新興市場全般でブーム」となり、ハイテクセクターで市場の需要をある程度満たした可能性があると分析。今年はIPO規模縮小を見込んでいるという。

  昨年の新興国企業IPOブームをけん引したのは中国だった。ブルームバーグがまとめたデータによれば、中国勢が602件。それに韓国、インド、インドネシア、ブラジルと続いた。

 

  ただ22年に向かう中で中国政府が規制を通じた企業締め付けを続け、自国企業による国外上場に関する新たな規定を打ち出したことから、IPOの勢いが鈍る公算は大きい。

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  消費者向けテクノロジーを基盤とする新世代の企業が株式市場を活用しているインドでも、資本市場監督当局がルールの厳格化を進めている。

  今年の新興国株への投資意欲を見極めている投資家の中では、ブラックロックが中立的スタンスで、先進国株を選好するとしている。ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースなどは少なくとも年後半まで弱さが続くと予想している。

 

  中国株はMSCI新興市場指数の約30%を占めており、アリアンツ・グローバル・インベスターズのポートフォリオマネジャー、ルー・ユー氏(米サンディエゴ在勤)は中国企業のこのウエートの大きさを踏まえれば「新興市場全体の好調を想定するのは難しい」と述べている。MSCI中国指数は昨年、20%余り下落した。

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