(ブルームバーグ):  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日、上院銀行委員会での指名承認公聴会で、インフレ高進の抑制と景気拡大の持続に必要なあらゆる措置を講じると言明した。ただ金融政策の道筋の詳細には言及しなかった。バイデン大統領は昨年11月にパウエル議長再任と、ブレイナードFRB理事のFRB副議長指名を発表していた。

  パウエル氏は質疑応答で、「やがて追加利上げが必要になればそうする」とし、「インフレを沈静化させるために金融当局のツールを活用する」と話した。

  インフレ率が当局目標の2%を大幅に上回る中、民主、共和両党議員は金融当局が低金利と債券購入で経済を過度に刺激しているとの懸念を示してきた。金融当局者にとってインフレ高止まりは予想外であり、今年、成長を失速させることなく物価高を抑制したい考えだ。

  金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は昨年11月に前年同月比5.7%上昇と1982年以来の高い伸びとなった。

  パウエル議長の発言は、3月の利上げ開始を公然と主張する他の当局者より慎重だ。ただ同議長は通常、連邦公開市場委員会(FOMC)会合で議論する前に公の場で政策ガイダンスを示すことを避けるよう努めている。次回会合は今月25、26両日開催の予定。

  パウエル議長は金融当局が物価安定の責務を完全雇用の目標よりも優先させることはないと強調しながらも、重点を置く対象は変化し得るとし、現時点ではインフレの方に重点を置いていると説明した。

  具体的には、「われわれが望むような参加率の高い非常に力強い労働市場を得るには、長期の景気拡大が必要だ。そして長期の景気拡大を実現するには、物価安定が必要になる。従ってある意味では、高インフレは最大限の雇用達成への深刻な脅威になる」と話した。

  ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は議長について、「最初の利上げ時期に関して引き続き曖昧であり、2022年3月を示唆する他の当局者の相次ぐ発言とは対照的だ」と指摘。「結論としては、パウエル議長は事態を少し落ち着かせたい考えであり、市場が直近のFOMC議事要旨を静かに織り込んで、騒ぎ立てないことを議長は望んでいると私はみている」とコメントした。

バランスシート

  議長は当局の8兆7700億ドル(約1011兆円)規模のバランスシートを縮小する計画についての質問に対し、今年のある時点でランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を開始すると返答。他の金融当局者からは、利上げ開始後かなり早期にバランスシート縮小を始めることを支持する発言が出ている。

  前回は利上げ開始からランオフ着手まで約2年待ったが、パウエル議長は米経済が前回のバランスシート縮小時に比べはるかに堅調な状況にあるとし、まだ決定していないが今回は速いペースになると述べた。「バランスシートの規模がかなり大きくなっているため、ランオフも速いペースとなる可能性がある。早く開始し、速いペースで実行するだろう。そこまでははっきりしている」と説明した。

  11日の公聴会ではパウエル議長再任に超党派の支持があることが裏付けられた。上院銀行委のブラウン委員長は公聴会後にブルームバーグとのインタビューで、同議長が上院で容易に2期目の承認を得ることになるだろうと予想。賛成84、反対13だった2018年1月の1期目承認の際と同程度の大差で承認されるとの見方を示した。なおブレイナード理事は13日の上院銀行委指名承認公聴会で証言する。

(エコノミストや上院銀行委員長の発言などを追加して更新します)

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