(ブルームバーグ):

中国初の民営銀行として1996年に設立された中国民生銀行は、国有銀行の裏をかいて多額の利益を上げることで将来の同国銀行業界の担い手になると、かつてはもてはやされていた。しかし、不動産融資に注力する戦略が裏目に出ている。

  民生銀は、中国経済を混乱に陥れている不動産債務危機で最も大きな痛手を受けた金融機関の一つ。中国恒大集団を含む不動産開発大手への融資に伴う損失が膨らみ、同行の株価は先週までの1年間で31%下落。ブルームバーグ世界銀行指数を構成する155銘柄で最悪のパフォーマンスとなっている。ヘッジファンドなど空売り投資家は民生銀について、他のどの銀行株に対してよりも弱気だ。

  民生銀の業務に詳しい複数の関係者によれば、同行は今やダメージを最小限に抑えようと取り組んでいる。不動産金融グループを再編し、支店マネジャーの権限を増やしたほか、不動産債務残高を減らすことを今年の最優先課題の一つに掲げ、一部従業員の給与を半分に削減することを計画している。情報の非公開を理由に同関係者が匿名を条件に語った。

  民生銀の苦境は、中国の習近平指導部による不動産業界などへの締め付けの影響の広がりを浮き彫りにしている。政策当局者の方針転換が短期間で状況悪化につながり得ることを示し、中国事業拡大に多額を投資している国際的な金融機関への警告にもなっている。

  シティグループの昨年9月の調査リポートによれば、高リスクのデベロッパーへの民生銀のエクスポージャーは約1300億元(約2兆3520億円)と、いわゆる「ティア1」資本の27%に相当する。これは中国の大手銀行では最も高い。 

  不良債権の整理には数年を要し、より経営基盤の強いライバル行から資本注入を受ける可能性も排除できないと、北京を本拠地とする投資銀行、香頌資本の沈萌ディレクターは語る。 

  民生銀はブルームバーグの質問に対する回答で、2020年に不動産金融部門の再編成を完了し、一部の機能を支店に移管したと説明。従業員報酬はおおむね安定していると付け加えた。

  民生銀が地方当局に20年に送付し、ブルームバーグが内容を確認した書簡によれば、恒大向けエクスポージャーは同年6月時点で約290億元だった。

  同行は昨年9月、恒大向け融資が20年6月以降に約15%減ったと指摘したが、具体的な水準は明らかにしなかった。信託商品を通じた間接的な貸し付けも考慮すると、恒大へのエクスポージャーは290億元を超えると、事情に詳しい複数の関係者は指摘している。

 

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