(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)が利下げに踏み切るとの観測が強まっている。中国当局は今年の景気を安定させる方針を示している。

  スコシアバンクの通貨ストラテジスト、高奇氏は、人民銀が来週にも中期貸出制度(MLF)を通じて提供する1年物資金の金利を現行の2.95%から5−10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げると見込んでいる。前回の引き下げは2020年4月だった。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のストラテジストは同金利について、引き下げ時期には触れず「高過ぎるようだ」と指摘。ゴールドマン・サックス・グループも今週、同様の見方を示し、DBS銀行とBNPパリバもMLFの金利が引き下げられる可能性に言及した。

ゴールドマン、中国の2022年成長率予想を引き下げ−感染封じ込め困難

  人民銀が昨年12月に先を見越した行動を取ると表明したことで、金融政策がすぐにでも緩和されるとの観測が広がった。新型コロナウイルスの感染再拡大やコロナ封じ込めを狙ったロックダウン(都市封鎖)は、すでに弱い個人消費や不動産市場低迷に苦しんでいる経済にとってさらなる足かせとなる。トレーダーらは現在、米連邦準備制度が今年4回の利上げを行うと想定しており、中国の金融政策は逆方向に動く可能性が高い。

  中国共産党中央政治局は昨年12月上旬に習近平総書記(国家主席)が主宰した会議で、不動産業界の規制緩和を示唆。今年後半の党大会を前に、22年の経済を安定させる方針を示し、政策シフトが明確になった。

中国、緩和にかじ切る−不動産市場の低迷が成長に打撃の恐れ

  人民銀は中期資金オペ(公開市場操作)の結果を今月17日に公表する可能性が高く、同日には21年10−12月(第4四半期)の国内総生産(GDP)統計も発表される。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、10−12月のGDPは前年同期比3.6%増と、20年4−6月(第2四半期)以来の低成長となる見通し。

  ただ、誰もが中国の利下げを見込んでいるわけではない。スタンダードチャータードは、新興国市場のボラティリティーリスクを踏まえ、米連邦準備制度の引き締めサイクルと同じ時期に人民銀が過度に積極的になる公算は小さいとみている。

  同行の中国マクロ戦略責任者、劉潔氏は「米連邦準備制度の利上げ期に人民銀が利下げするは歴史的に見て非常にまれだ。前回は20年余り前の1999年6月だ」と指摘した。

©2022 Bloomberg L.P.