(ブルームバーグ): 英議会で中国の工作員が「政治干渉活動を行っている」とホイル英下院議長が警告した。議長が議員に13日に一斉送付した電子メールをブルームバーグが確認した。

  ホイル議長は情報局保安部(MI5)からの警告を引用し、中国共産党の意を受け動く女性が複数の議員と政治団体に働き掛けをしていると指摘。

  この女性はロンドンの法律事務所を率いるクリスティン・リー氏だとし、同氏が「香港と中国を拠点とする外国人の代理として議員への献金を進めたという事実を強調しなければならない」と議員らに伝えた。

  リー氏の法律事務所クリスティン・リー・アンド・カンパニー・ソリシターズに電話したが、すぐに返答はなかった。ホイル議長は声明で「議員の安全と民主的プロセスを非常に真剣に受け止めている」と説明。議長のオフィスはそれ以上のコメントを控えた。

  在英中国大使館の報道官は13日遅く出した声明で、「われわれが外国の議会で影響力を買う必要はなく、そうしたことは決してしない」と主張。「英国の中国人コミュニティーに対する中傷や脅迫する手口に強く反対する」と表明した。

  ホイル議長はリー氏が関与した献金について、「支払いの出所を隠すためにひそかに行われた」とし、「容認できない」と述べた。

  議員に送付された文書によると、リー氏は「中国共産党のアジェンダ浸透を目的に個人を特定し育成する」党中央統一戦線工作部と連携している。

  選挙委員会のデータはリー氏の法律事務所が2009年以降、選挙区支部を含め労働党にほぼ25万ポンド(約3900万円)献金していたことを示している。自由民主党にも13年に5000ポンドの献金を行った。

労働党議員

  リー氏の法律事務所はまた15年以降、労働党のバリー・ガーディナー議員に43万ポンド近くを献金。この献金は届け出がなされており、不適切な点は示されていない。

  事情に詳しい関係者1人によると、リー氏は労働党議員だけでなく、与党保守党の議員も標的にしている。送付文書によれば、リー氏は「英政界全体の個人に広く関与」している。

  ガーディナー議員は13日の声明で、治安当局と何年にもわたりリー氏に関し連絡を取り合っており、当局はリー氏を介した不適切なファイナンスを明確に特定しているが、同議員の事務所が受け取った資金とは何ら関係がないと伝えてきていると説明。リー氏からの献金は事務所の人件費に充てられたが、同氏は20年6月に資金提供をやめたと明らかにした。

  リー氏の法律事務所はウェブサイトで、同事務所は在英中国大使館の法律顧問だとしている。

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