(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)は17日、約2年ぶりとなる中期貸出制度(MLF)金利の引き下げに踏み切った。新型コロナウイルスの相次ぐ感染拡大で勢いを失っている景気の下支えを図る。この日発表された昨年10−12月の国内総生産(GDP)は前年同期比4%増へと伸びが鈍化した。

  GDP発表直前に公表されたMLF金利は2.85%。従来は2.95%だった。10−12月のGDP成長率はエコノミスト予想(3.3%)を上回ったが、7−9月の4.9%成長からは減速した。一方、21年のGDPは8.1%増と、政府目標の「6%超」を大きく上回った。

中国人民銀、1年物MLF金利を2.85%に引き下げ−20年4月以来

  12月は個人消費の伸び悩みが目立った。政府が国内の一部地域で講じたコロナ規制強化が響いた。オミクロン株の感染は北京市でも確認されており、消費者心理には一段の重しとなる。

  オックスフォード・エコノミクスのアジア担当リードエコノミスト、シアン・フェナー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「不動産セクターや中国が堅持するであろうゼロコロナ政策によって成長率は今後も圧迫される」と分析。「小売売上高はゼロコロナ政策が引き続き消費を損ねていることを物語っており、工業セクターで見られるような持ち直しが確認できない」と述べた。

  中国経済にとって昨年後半は電力不足や不動産・住宅危機による不履行、コロナ感染再拡大などショックが相次いだ。人民銀は20年4月以来となるMLF金利の引き下げを発表した。

  今年の先行きについても不透明感が根強い。世界の需要は鈍化が見込まれているほか、オミクロン変異株も国内外で広がり、中国恒大集団に端を発した住宅市場の危機も終わりが見えない。

ゴールドマン、中国の2022年成長率予想を引き下げ−感染封じ込め困難

  中国は今年秋に開かれる共産党大会を控え、経済「安定」を優先する方針を示している。党大会では習近平総書記(国家主席)の3期目続投が確認される見通しで、政府による刺激策強化が示唆されている。

  1月の工業生産は伸び悩みそうだ。春節(旧正月)連休を控えているほか、西安や天津などでのコロナ封じ込めを目的とした厳格な措置による影響、北京冬季五輪に合わせた大気汚染対策として講じられる重工業の生産抑制が足かせとなる。

  中国当局は不動産業界の資金調達に対する制限の一部緩和に動いたが、その効果は統計にまだ反映されていない。また、中央政府が地方当局に借り入れや支出を促しているにもかかわらず、インフラ投資も伸び悩んだ。

  ナットウエスト・グループの中国担当エコノミスト、劉培乾氏は「固定資産投資に対する不動産セクターの足かせは非常にはっきりしており、衝撃的だ」と指摘。12月の不動産投資は前年同月比13.9%減少し、11月の4.9%減からさらに悪化したと同氏は推定した。

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