(ブルームバーグ): 過去60年もの液化天然ガス(LNG)の歴史において、最大規模の市場再編に世界中のアナリストやトレーダーが直面しつつある。かつて平穏だった市場に米国と中国という新たな超大国が出現したことで不透明感が増し、相場の変動幅が大きくなっている。

  中国は昨年12月、1970年代に業界の先駆者となった日本を初めて追い抜き世界最大のLNG輸入国となった。一方、米国は年内に年間ベースで、カタールやオーストラリアを抜いて世界最大のLNG輸出国になる見込みだ。

中国がLNG年間輸入量で日本抜く、業界の主役交代か−チャート

  米国と中国の状況はともに従来の主要プレーヤーと比較して予想しにくく、特に中国からのデータは入手が難しいため、LNGは大幅な値動きを示すようになっている。こうした状況に対応するため、世界的にトレーディングデスク導入が相次ぐ。JERA(ジェラ)や東京ガスなど日本の大手は自社にトレーディングデスクを設け、マッコーリー・グループやシティグループといった金融機関はボラティリティーを利用した利益確保でトレーダー採用を進めている。 

  LNG市場がこれほど不安定な動きを示したことはなかった。1日当たりの上下動を見ると、過去数十年でほとんど記録したことのないレンジでの取引となっている。欧州の天然ガス指標価格は12月半ばにメガワット時当たり180ユーロと過去最高値を付けたが、その後10日間に60%余り下落した。

欧州ガス価格が20%下落、米国産LNG供給急増へ−不足分を穴埋め

  BCSグローバル・マーケッツのシニアアナリスト、ロナルド・スミス氏(モスクワ在勤)は「中国の需要が市場の想定より強いか弱い時にガス価格は予想外に大きく動く可能性がある」とし、「米国からの供給は比較的予想しやすい」ものの、LNGカーゴの行き先がアジアから欧州に突然変更されるなど想定外の事態が起きることも時々あるとした。

 

Traders Wanted in a Once-Sleepy Gas Market With New Kingpins(抜粋)

©2022 Bloomberg L.P.