(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は2022年の世界成長見通しを下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が3年目に入る中で、米国と中国の見通し軟化と当初想定より長引きそうなインフレを理由に挙げた。

  IMFは25日公表した世界経済見通し(WEO)で、今年の成長率予想を4.4%と、昨年10月時点で見込んだ4.9%から下方修正した。23年の予想は3.8%に上方修正したものの、2年間の累積成長率予想は前回予測を0.3ポイント下回る。

  IMFの推計によれば、21年の世界経済成長率は5.9%とデータのある過去40年間で最高。20年は3.1%のマイナス成長で、平時としては大恐慌以来の大幅な縮小だった。

  パンデミックの経済への影響を和らげるために金利を引き下げた中央銀行は今、消費者物価上昇に直面し、利上げ圧力にさらされている。各国政府も近年の借り入れ増大で医療体制の整備や景気てこ入れの余力が縮小した。

  IMFのチーフエコノミストを3年間務め、筆頭副専務理事に先週就任したギータ・ゴピナート氏は「今回の危機と現在進行中の回復が前例のないものだということが過去2年に明らかになった」と報告書に伴うブログでコメント。

  「政策当局者は幅広い経済データを監視し緊急事態に備え、政策の変更を遅滞なく伝え実行する態勢を取らなければならない。並行して、大胆で効果的な国際協力が行われれば、世界は今年こそパンデミックから確実に脱することができるだろう」と論じた。

  IMFは新型コロナのオミクロン変異株が1−3月(第1四半期)の成長の重しとなるものの、世界的な感染急増が収まりさらなる移動制限を必要とするような新たな変異株が発生しない限り、悪影響は4−6月(第2四半期)から薄れ始めるとみている。

  IMFはまた、サプライチェーンの目詰まりが予想以上に幅広いインフレを引き起こしていると分析。先進国・地域の今年の平均インフレ率を3.9%と予測し、前回の2.3%から引き上げた。新興国・発展途上国については5.9%と予想。インフレ期待が安定を保ち供給のボトルネックが軽減、主要国が利上げで対応すれば、今年中には生活費上昇が徐々に和らぐとみている。

  先進国・地域の利上げは金融安定と新興国・途上国の資本フローや為替、財政に対するリスクを生じさせる可能性があるともIMFは指摘。過去2年で債務が大きく増えていることから、各国の資金アクセスを維持し、必要な場合には秩序ある債務再編を後押しする国際協力が必要だと論じた。

 

  米国の今年の成長率予想は1.2ポイント引き下げ4%とした。バイデン大統領の支出計画「ビルト・バック・ベター(BBB)」法案の成立見通しが立たない中で、これによるプラス効果の想定を除外したほか、米連邦準備制度による政策支援の早期引き揚げ、サプライチェーン目詰まり継続の影響を織り込んだ。

  中国の成長見通しは0.8ポイントの下方修正で4.8%。パンデミックと同国のゼロコロナ政策、住宅セクターの混乱に言及した。

  IMFの予測は年末までに新型コロナの感染が大半の国で低水準となり、ワクチン接種率が上昇、治療法が普及することを前提としている。ただ、リスクは下振れ方向に傾き、新たな変異株の出現でパンデミックが長引く可能性を指摘した。

IMF Cuts World Growth Forecast on Weaker U.S. and China Outlooks(抜粋)

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