(ブルームバーグ): 20日のアジア時間帯の取引で、米国の10年国債の実質利回りを反映する10年物インフレ連動国債(TIPS)の利回りが、2020年以来で初めてプラスとなった。

  米連邦準備制度による積極的な利上げ観測を背景に10年国債利回りが3%を目指す中で、10年物TIPSの利回りは一時プラス0.02%まで上昇した。

  ノムラ・オーストラリアの金利ストラテジスト、アンドルー・タイスハースト氏は「パンデミック危機とその対応で導入された金融政策設定をはっきりと脱し、より正常な水準に戻りつつあることを意味する。米10年債利回りの急上昇は、インフレ期待の高まりではなく主に実質利回りの上昇によるものだ」と指摘した。

  タイスハースト氏によれば、予想される米利上げ回数の増加が、高まったインフレ期待の安定に寄与する状況をそれは物語る。

 

  ロシア軍のウクライナ侵攻がブレークイーブンインフレ率(BEI)に反映されるインフレ期待を促進した3月時点でも、実質利回りはマイナス1%を下回っていた。しかし、物価圧力抑制のため急ピッチの利上げを示唆する連邦準備制度のタカ派姿勢が、驚くほどのトレンドの急転換を招いた。

  インフレ調整後の利回りはこれまで約2年わたりマイナス圏で推移し、株価を支える重要な柱となってきた。実質利回りのプラス圏への上昇は、リスク資産にとって好ましい環境を損ない、株式のバリュエーション、そして債券と比較した魅力を脅かす要因となる。

  スワップ市場は、今後3回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で合計約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げ決定を織り込んでおり、少なくとも2回の50bp利上げ見通しを反映している。連邦準備制度が50bp以上の利上げを連続して決定すれば、1984年8月以来となる。

U.S. 10-Year Real Yields Turn Positive for First Time Since 2020(抜粋)

(ストラテジストの見方などを追加して更新します)

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