(ブルームバーグ): 日本銀行が27、28日に開く金融政策決定会合では、ロシアのウクライナ侵攻後の資源・食料価格の高騰が景気に及ぼす悪影響が懸念される中、金融緩和策を維持すると見込まれている。約20年ぶりの円安・ドル高水準を受けて政策修正への思惑もくすぶっており、黒田東彦総裁会見への関心も高い。

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、9割が金融政策の現状維持を予想している。1割は政策金利の先行きを示すフォワードガイダンスについて、利下げに関する文言の削除など引き締め方向への変更があり得るとみている。

  インフレ対応で引き締めにかじを切る米欧中央銀行と緩和を続ける日銀との方向性の違いを背景に、20日には1ドル=129円40銭まで円安が進んだ。市場では日銀が円安や金利上昇圧力を受けて年内に政策修正に動くとの見方が増えており、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の弾力化を見込む声も出ている。

日銀の年内政策修正を45%予想、円安や物価高対応−サーベイ

  黒田総裁は22日に米国で講演し、「日本の経済と物価の立ち位置は米国と大きく異なる」として金融緩和継続の必要性を強調した。当面、消費者物価(生鮮食品除くコアCPI)の前年比は2%程度に上昇する可能性があるとしながらも、エネルギー中心の「コストプッシュが主因で持続力を欠くものだ」との見解を改めて示した。

黒田総裁:日銀は強力な緩和継続する必要−講演では円に言及せず

  複数の関係者によると、会合後に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2022年度のコアCPI見通しが1%台後半へ大幅に上方修正される可能性が高い。もっとも、日銀は新たに見通しを示す24年度にかけて物価が2%程度で安定的に推移する姿は描けないとみており、金融引き締めと受け取られかねない政策修正には慎重とみられるという。

日銀コアCPI見通し1%台後半に上方修正へ、資源高で−関係者

  鈴木俊一財務相は、原材料価格が高騰する中での円安は経済状況を踏まえると「デメリットをもたらす面が強い」と警戒を強めている。黒田総裁も18日の国会答弁で、円安が日本経済に全体としてプラスとの評価を変えていないとしつつも、「非常に大きな円安とか、急速な円安の場合はマイナスが大きくなる」との見解を示した。

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、通貨政策を担う政府が円安を嫌悪する情報発信をしている以上、「金融政策をつかさどる日銀も同じ方向を向くのが理論的には当然」と指摘。「全体としてプラス」が事実だとしても、日銀による情報発信は「バランスの取れた方向感のないものに変わっていく」とみている。

他のポイント

展望リポートの22年度実質経済成長率見通しは、前回1月の前年比3.8%増から下方修正が見込まれている。先行きの景気回復シナリオに変化はないものの、需給ギャップの改善後ずれで回復ペースは緩やかに22年度コアCPIは2%前後に上昇する可能性があり、日銀は展望リポートでも安定的・持続的な物価上昇ではないことを説明する見通し新型コロナウイルスの感染拡大を受けて上海など中国の主要都市がロックダウン(都市封鎖)されており、供給制約を通じた世界・日本経済への影響に関する展望リポートでの言及も注目される海外金利上昇で日本の長期金利にも上昇圧力がかかり、日銀は連続指し値オペなどで上昇を抑制している。市場では長期金利の変動許容幅拡大や長めの金利目標の10年から5年への短期化などYCC政策の弾力化観測も資源や食料品の価格上昇を受けて企業や家計のインフレ期待も短期を中心に上昇している。コストプッシュ型のインフレが背景にある中で、インフレ期待の持続性に関する黒田総裁の発言も注目される

現在の政策運営方針

日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用長期金利がゼロ%程度で推移するよう上限を設けず必要な額の長期国債を買い入れ。許容変動幅は上下0.25%程度ETFとJ−REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じ買い入れCPや社債などは感染症拡大前と同程度のペースで買い入れを行い、買い入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻していく

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