(ブルームバーグ): 中国株式相場が2020年4月以来の安値に下落したことは、習近平国家主席に対する投資家の懸念の高まりを反映している。新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」戦略は同国経済に打撃を与えているが、同戦略を捨て去る政治的コストを払う余裕は習氏にはないとの見方が広がっている。

中国株CSI300、20年4月以来の安値−香港ハンセン指数2万台割れ

  上海市ではロックダウン(都市封鎖)がさらに厳しさを増し、週末には防護服を着た担当者らが陽性者の出た建物の周囲に鉄柵を設置した。北京市でも新たな感染拡大を防ぐべく、当局者が一部繁華街の閉鎖に動き出した。

中国コロナ拡大、北京市でも封鎖との懸念−住民は買いだめに奔走 (1) 

  ロックダウンの拡大は投資家を不安にさせている。習氏は共産党の現実的な経済運営への評判を犠牲にしても、コロナ封じ込めに世界で最も成功した指導者であるという政治的なシナリオを守ろうとしているのではないかとの懸念だ。

  JLウォーレン・キャピタルを創業したチュンホン・リー最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで上海でのロックダウンに触れ、「このコロナの状況は中国を非常に暗い時期に追い込んでいる。恐らく、経済的な観点からは過去数十年で最も暗くなっている」と指摘。「中国で最も裕福な都市が、極めて分別を欠いた政策に失望し憤慨しているというのは、ある意味で信頼の危機と言えるだろう」と述べた。

  習氏は今年後半に開かれる5年に一度の共産党大会で、党トップとして異例の3期目を目指す公算が大きい。こうした中、たとえ経済成長を犠牲にしても、強い意思決定者との評判を維持することが最優先事項になりつつあるようだ。

  中国の経済成長見通しを下方修正−ロックダウンでエコノミスト

  ローウィー研究所(シドニー)の上級研究員で「中国共産党 支配者たちの秘密の世界」の著者リチャード・マクレガー氏は、いまさら政策を変えれば習氏の面目が丸つぶれになり、感染状況は短期的に一段と悪化する恐れもあると指摘。「中国指導部は自分たちのシステムが西側民主主義より優れていると長年自慢してきたが、突如として結局そうじゃなかったように見えている。それを思い切って習近平氏に進言できる人などいるだろうか」と述べた。  

Xi Puts Ideology Before Economy With Market-Busting Lockdowns(抜粋)

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