(ブルームバーグ): 米資産家イーロン・マスク氏は米ツイッターを440億ドル(約5兆6400億円)で買収することで同社と合意した。ツイッター取締役会がレバレッジド・バイアウト(LBO)を活用した買収に同意するかどうかという差し迫った問題は解消された。

  だが、マスク氏側にはまだ謎が残る。買収費用の内、210億ドルのエクイティ部分をどうカバーするかという問題だ。

  マスク氏(50)はツイッターが保証した銀行融資で130億ドルと、自身の保有するテスラ株の一部を担保とした融資で125億ドルを確保したと説明したが、残りの資金の調達方法に関する詳細は明かしていない。

  残る資金をマスク氏が工面できることは疑いの余地がない。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、マスク氏は世界一の富豪で、2570億ドルの財産を有する。しかし、ブルームバーグの推定では、同氏が保有するのは現金約30億ドルと幾分かの流動資産しかない。

  そこで同氏に残るのは以下のような選択肢だろう。

他の投資家

  マスク氏の1つの道は、ツイッターに対する同氏のビジョンに賛同し買収に加わる投資家を見つけることだ。そうなれば、エクイティ部分の一部が新規または既存の株主から来ることを意味する。

  既に同氏は、そのような戦略はあり得るとほのめかしている。最初にツイッター買収提案を行った後、カナダ・バンクーバーで開催されたスピーチイベント「TED」で、「法律が許す限りできるだけ多くの株主」をつなぎ留めたい意向を明かしていた。

  米国の非公開企業は一般に株主数を2000人未満に制限されているため、買収手続きが終了した場合、 大方の個人投資家はツイッター株を所有し続けることはない。

  しかし、 ツイッター創業者ジャック・ドーシー氏ら大株主がマスク氏のビジョンを信じる場合、保有株を持ち続ける選択を行う可能性もある。ドーシー氏の持ち分は約10億ドル相当。ブルームバーグ・ニュースは25日、マスク氏が株式パートナーをそろえつつあり、他の潜在的な共同投資家との交渉を続けていると報じた。

持ち分売却

  マスク氏は株式投資家を多数集められなくとも、ほぼ単独で行う財力を持つ。莫大(ばくだい)な財産の重要部分を占めるテスラ株のおかげだ。

  同氏は125億ドルの融資にテスラ株を担保に差し出しても、まだ担保の制約のない同社株を25日終値基準で約216億ドル相当保有する。ただ、この戦略はリスクも伴う。マスク氏が保有株の一部売却を余儀なくされるとの懸念がテスラ株に既に重しとなっている可能性があり、今月初め以来で同社株は約8%値下がりした。

  スペースXなどマスク氏が率いる非公開企業の持ち分を売却する公算もあるが、流動性がかなり低いため可能性は低い。

現金、暗号資産

  マスク氏がブルームバーグ・ビリオネア指数で計算されるよりもさらに裕福な可能性もある。

  マスク氏の現金保有額の推定は、上場株に関連した届け出や報道に基づいているが、同氏の私的ファイナンスに関する情報の多くは制限されている。

  同氏は昨年7月に暗号資産(仮想通貨)のビットコインとイーサ、ドージコインの保有を明らかにした。保有額や保有期間は不明だが、ビットコインは2020年3月以来約720%、イーサは2600%、それぞれ上昇し、S&P500種株価指数(90%高)をはるかに上回る急騰を演じている。

Musk’s $21 Billion Mystery: Where Will He Get Cash for Twitter?(抜粋)

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