(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる4月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比1.9%上昇となった。プラス幅は消費税率引き上げの影響があった2015年3月以来、7年1カ月ぶりの大きさ。昨春に携帯電話通信料が大幅に引き下げられた影響がはく落した。総務省が6日発表した。

  携帯電話通信料は前年同月比22.5%低下(前月52.7%低下)と、指数への寄与度はマイナス0.29(同マイナス1.08)に縮小した。電気代や都市ガス代を中心にエネルギー価格が24.6%上昇と高い伸びが続いたほか、生鮮食品を除く食料は2.3%上昇と前月の1.6%から伸びが拡大した。

  1997年と2014年の消費増税の影響を除くと、都区部ベースのコアCPIは1992年12月以来(1.9%上昇)30年ぶりの伸び率となる。

  携帯電話通信料の値下げは菅義偉前首相の肝いりで、昨年3月から段階的に実施された。消費者物価への影響は同4月の全国ベースにおける総合指数の前年比を1%ポイント程度押し下げていた。他方、ロシアによるウクライナ侵攻で資源や食料品の価格が一段と高騰。電気代を中心にエネルギー価格の上昇が消費者物価の大きな押し上げ要因になっており、足元の円安進行も輸入物価の上昇に寄与。企業収益や家計の圧迫要因として懸念されている。

  2%の物価安定目標を掲げる日銀は4月28日の金融政策決定会合後に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、22年度のコアCPIの前年比上昇率見通し(政策委員の大勢見通しの中央値)を1.9%とし、前回の1.1%から上方修正した。しかし、23年度と24年度はいずれも1.1%と見通し期間を通じて2%程度が持続する姿は展望できないままだ。

  黒田東彦総裁は会合後の会見で、「コストプッシュだけで物価が上がっている状況だと、持続せず、物価上昇率は下がっていく」と述べ、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく考えを改めて表明した。

エコノミストの見方

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長:

予想されていた通り、エネルギーと携帯電話通信料が大きな要因となって物価上昇率を押し上げた政府の物価対策がどの程度効いてくるか不確実な部分はあるが、全国のCPIは今後2%に達し、その辺りで推移するとみている円安は輸入品全てに関連してくるため、エネルギーや原材料価格だけではなく幅広く物価上昇圧力を与える足元の物価上昇は明らかにコストプッシュであり、持続性がないという日銀の見方に違和感はない

詳細(総務省の説明)

消費者物価の前年比が3月に比べて大きく上昇した主因は、昨年の携帯電話通信料の値下げの影響が一巡したため。前月からの寄与度差は0.80%ポイントで、ウエートの影響で全国よりも寄与度差は小さくなる生鮮食品を除く食料は15年3月(3.5%上昇)以来の上昇幅。調理カレーや外食ハンバーガー、中華麺などが値上がりしており、小麦など原材料価格や人件費、物流費の上昇も影響エネルギーはガソリン中心にマイナス寄与。ガソリンなどは政府による激変緩和措置を含むが、どの程度影響しているかは不明。電気代は前年比上昇率が縮小しているが、報道ベースでは電気代の値上げ自体は続く見込みコアコアCPIの0.8%上昇は20年1月(0.9%上昇)以来、総合の2.5%上昇は14年10月(2.5%上昇)以来の高い伸び

背景

先行きは消費者物価を大きく押し上げているエネルギー価格の動向が鍵を握る。ウクライナ情勢次第の面があるものの、一段の上昇がなければ22年度後半には押し上げ寄与が低下していく可能性日銀は消費者物価の先行きについて、22 年度にはいったん2%程度まで上昇率を高めるが、その後はエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想している

(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)

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