(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は5日、利上げを発表した。政策金利は1%と、これまでの0.75%から引き上げられ、金融危機以来の高水準となった。その上で中銀は、インフレ率が2桁台に上昇する中で英経済がマイナス成長に陥るとの見通しを示した。

  金融政策委員会(MPC)メンバーのうち6人が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを支持。残る3人は50bpの利上げを主張した。ソーンダース、マン、ハスケルの3氏が賃金上昇の加速に懸念を示し50bp利上げを求めた。

  ベイリー総裁は記者会見で、政策当局が直面する困難を強調。30年ぶりの高インフレの抑制と新型コロナウイルス禍からの回復という矛盾する目標を指摘した。

  「英国民、特に低所得層の苦境を認識している」と語り、エネルギー価格上昇を中心に実質所得に衝撃が起きていると説明。一方で、インフレに関するリスクは上振れ方向だとの認識も示した。

  2四半期連続のマイナス成長という定義上のリセッション(景気後退)を年内は回避できるとみているものの、家計のひっ迫が響き、10−12月(第4四半期)は1%近いマイナス成長に陥ると中銀は予想。2023年の国内総生産(GDP)は0.25%縮小すると見込んでいる。

  来年のマイナス成長見通しは市場の見通しに沿って同年半ばまでに政策金利を2.5%に引き上げることを想定しており、24年もゼロ成長にとどまると中銀は見込む。失業率は直近の3.8%から5.5%に跳ね上がり、約60万人の失業者が発生すると予想した。

  一方、金利が現在の1%にとどまるシナリオの場合、発生する失業者数は44万人少なくなり、23年、24年とも経済成長率は約1%のプラスに改善する。

 

  この予想に鑑み、MPCメンバー2人が一段の利上げが必要とのガイダンスに異を唱えた。これを受けてガイダンスの文言は、「大半のメンバーはある程度の追加引き締めが今後数カ月に引き続き適切であるかもしれないと判断した」に変更された。リスクはより均衡しており、このガイダンスすら強すぎるとの声もあった。

  中銀は10月にインフレ率が10%を超えるとみている。22年の賃金上昇率見通しは5.75%と、2月時点の予想から大幅に引き上げた。

  ベイリー総裁は、インフレ抑制とリセッション(景気後退)回避の間の「非常に狭い進路」を中銀は歩んでいると述べた。

  中銀は量的緩和(QE)の下で購入した債券の売却開始について検討する方針も明らかにした。MPCは売却の戦略策定をスタッフに要請したという。8月に最新の方針を示し、その後の会合で売却を開始するかどうかを決定するとしている。

  欧州連合(EU)離脱決定後に開始した200億ポンド(約3兆2000億円)相当の社債の売却は9月に開始する。遅くとも24年の早い時期までに売却を完了する予定。

 

(英中銀の経済予想について詳細を第6、第7段落に加えます)

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