(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下の株式市場で傑出した大胆さを見せた小口デイトレーダーたちにとって、終わりは始まりと同じくらい急ピッチだ。

  モルガン・スタンレーの推計によると、新型コロナ感染対策のロックダウン(都市封鎖)開始時に株式市場に飛び込んだアマチュア投資家は、今年は損失に見舞われており、かつての驚異的な利益を全て失った格好だという。この計算は2020年初め以降の新規参入者によるトレードに基づくもので、全体の売買損益を集計するための公開の価格フィードデータなどを使用している。

  新型コロナ流行下で生まれ米金融当局の緩和策で弾みがついた熱狂的な投資は、ここにきてインフレという悪材料で影を潜めている。世界各国の中央銀行は利上げを通じてインフレ対策を進めており、その結果、20年3月の景気対策開始時に急騰した投機的な銘柄は弱気相場入りしている。

  タトル・キャピタル・マネジメントのマシュー・タトル最高経営責任者(CEO)は「こうした人々の多くはコロナ禍になってトレーディングを始めただけに、彼らの投資経験は米金融政策で活気づいた狂乱の相場しかない」と指摘。「昨年11月の米金融政策転換で全てが一変したが、彼らは米金融当局の支援のない市場を経験したことがないため気づかなかった。その結果はぞっとするものだ」と述べた。

  デイトレーダーによる投資ブームのピーク時に名をはせた銘柄は深刻な値下がりに見舞われている。AMCエンターテインメント・ホールディングスは21年6月以来78%下落し、年初来では49%安。ペロトン・インタラクティブは最高値から90%値下がり。ゴールドマン・サックス・グループが算出する小口投資家に人気銘柄のバスケットは20年初めから昨年11月までに2倍強に値上がりしたが、今年は32%下落し、S&P500種株価指数の2倍余りの値下がり。

  米株式市場の時価総額が今年に入って約9兆ドル(約1178兆円)失われた中、資金を引き揚げるプロのマネジャーとは対照的にデイトレーダー軍団は少なくともポジショニングの面では比較的しっかりとしている。モルガン・スタンレーのプライムブローカー部門の集計データによると、ヘッジファンドは数カ月にわたってリスクを縮小しており、株式エクスポージャーは2年ぶりの低水準にある。

  クリストファー・メトリ氏らモルガン・スタンレーのアナリストらは、相場底入れの兆候を探す投資家にとって小口投資家の行動は注目すべき要素の1つだと指摘した。

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