(ブルームバーグ): 世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのスター・ポートフォリオマネジャー、アリスター・ヒバート氏は、株式相場の急落に伴い運用するヘッジファンドが過去最大の損失を被ったことを受け、初めて弱気に転じた。

  事情に詳しい関係者によれば、「ブラックロック・ストラテジック・エクイティ・ヘッジファンド」は1−4月の運用成績がマイナス13%と、これまで最悪だった年間リターン(マイナス11%)よりひどい落ち込みを記録した。

  関係者によると、ヒバート氏は同ファンドの2011年のスタート以降、歴史的な株価上昇の恩恵を受けてきたが、今月に入りショートからロングを差し引いたポジションが初めて売り持ちとなった。昨年末時点では差し引き約35%の買い持ちだった。

  インフレ急加速により各国・地域の中央銀行が量的緩和(QE)終了と利上げに動かざるを得ない状況で、ヒバート氏が弱気に転換したことは、グローバル市場で進行中の劇的な変化を浮き彫りにする。インフレと金融引き締めが相場急落要因となり、テクノロジーを中心とする成長株の一段の下げは、株式ヘッジファンドにとって痛手となった。

  ヒバート氏のファンドは成長株に比重を傾ける投資を行い、マイクロソフトやマスターカードといった銘柄を保有していたが、今年3月時点の投資家向けレターで「ポストパンデミックの経済正常化が必ずしも秩序立ったプロセスとなりそうにないのは明らかだ」と警戒を促していた。

  ブラックロックの広報担当者は、コメントを控えている。

  ヒバート氏が運用するファンドの昨年末時点の資産額は約90億ドル(約1兆1700億円)。わずか1300万ドルでスタート後、最大のロング・ショート戦略ファンドの一つに成長し、昨年までプラス約17%の年間リターンを残した。年間リターンがマイナスとなったのは過去2回しかない。

  ヒバート氏は長らくブラックロックで最高給のリスクテーカーの1人であり、アクティブ運用の業務展開などで中心的役割を果たしてきた。同氏の9桁の報酬は20年時点で、ローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO、3000万ドル)の3倍余りに達した。

(ファンドの成績などに関する情報を追加して更新します)

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