(ブルームバーグ): 「今後取るべき行動は徹底した守り」。ソフトバンクグループの孫正義社長は12日、過去最大の赤字を計上した前期(2022年3月期)決算を受け、世界情勢が混とんとしている中では保有資産の資金化や現金化を進めるほか、新たな投資は厳格な基準で行う考えを強調した。

  同日発表した前期純損益は1兆7080億円の赤字。約5兆円と日本企業としては過去最大の黒字を計上した前の期から一転、同社としては2期ぶりに過去最大の純損失を記録した。金利の先高観など世界的な株式投資環境の悪化を受け、ビジョン・ファンド出資先の評価が大きく下がった。

  孫社長は決算会見で、株価の下落や借入金の増加、資金繰りの3点が「多くの人が持っているソフトバンクグループへの懸念だ」と発言。こうした懸念に対し、保有資産に対する純有利子負債の割合であるLTVは3月末時点で20.4%と、昨年末の22%から低下し、25%未満の規律を維持しながら「投資をより保守的に行っている」と説明した。

  孫社長によると、1−3月期(第4四半期)の投資承認額は25億ドル(約3200億円)と直近ピークだった昨年4−6月期(第1四半期)の209億ドルから減少。さらに、今期(23年3月期)の新規投資は「前期の半分か、4分の1」になる見通しだという。

  このほか孫社長は、米国上場株に投資するSBノーススター事業に関して「ほぼ手じまい」と発言。そもそもは、保有株式価値から純負債を引いた時価純資産(NAV)に占める中国アリババグループ・ホールディング株の比率を引き下げるために始めたと説明し、アリババ株の比率が20年9月末の59%から22%に下がった中で一定の役割を終えたとの認識を示した。

ファンドなら利益を

  ソフトバンクGはこの日、同事業の大幅な縮小に伴い、個別決算でノーススターへの出資に対する評価損398億円や貸倒引当金繰入額6297億円の計上を発表。同社は12日に関東財務局に提出した臨時報告書で、孫社長が損害補償として3148億円を負担することを明らかにした。

  株式調査会社ライトストリーム・リサーチのアナリスト、加藤ミオ氏は「ソフトバンクGはファンドである以上、市場環境がどうあっても定期的に利益を出さないと評価されない。バブルに頼ってるだけではだめだ」と指摘した。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアクレジットアナリスト、シャロン・チェン氏もLTVとポートフォリオの質が悪化し、「変動の激しい足元の相場環境をしのぐための緩衝材は減少した」と分析。投資資金も減り、さらなる難局に直面する可能性があると警戒している。

ソフトバンクG、過去最大黒字から最大の赤字に−投資先評価悪化 (2)

(孫社長の会見内容を加え、全体を再構成します)

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