(ブルームバーグ): 日本銀行の強い否定にもかかわらず、金融政策修正観測がくすぶり続けている。突然の変更への警戒を含めて今後2年以内に短期政策金利を引き上げると金融市場は予想している。

  ブルームバーグのデータによると、無担保コール翌日物金利の先行きを示すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS、2年)は9日、0.19%と2011年5月以来の高水準となった。翌日物金利は現在マイナス0.01%近辺で、これより0.2ポイント程度高い水準だ。マイナス0.1%の短期政策金利が同じ程度上がる市場予想になる。野村証券のデータでもOISは0.16%と13年8月以降で最高だ。

  内田真一日銀理事は10日の国会答弁で、長期金利の変動幅拡大は事実上の利上げで経済に好ましくないと政策修正観測を強く打ち消した。米長期金利低下もありブルームバーグOISは0.15%に下がったが、なお量的・質的金融緩和導入時の13年来の水準を保っている。4月28日の金融政策決定会合で日銀は10年国債を0.25%で購入する指し値オペを原則毎営業日すると発表、金融緩和維持を鮮明にした。

  野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは、2016年1月のマイナス金利政策導入時を例に挙げて「日銀は直前まで否定しながら突然、政策変更に踏み切る可能性があるとの見方が海外投資家の間で根強い」と指摘。「10年金利の変動許容幅拡大に限らず、日銀が何らかの政策修正をすることへの警戒感がくすぶり続けている」と述べた。

スペキュレーション

  日銀が12日発表した保有国債の銘柄別残高(10日時点)によると、10年債366回債の保有額は2兆3674億円と発行額の87%に達した。その後の入札による供給で比率は43%に低下したが、日銀の買い入れで引き続き上昇していく公算だ。

  海外金利の高止まりにより、10年金利を0.25%以下に抑えようとすると、日銀は一段と国債を購入する必要があると中島氏は指摘。「市場機能に支障が生じ、日銀は変動許容幅を拡大せざるを得ないのではないかという臆測も海外勢中心として根強く残っている」と述べた。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、日銀の政策変更に影響を与えるイベントとして7月の参院選と来年4月の黒田東彦総裁退任に加え、秋の補正予算成立や来年初めとみられる後任総裁内定も重要だろうと指摘した。その上で「市場は今後ほぼ四半期ごとに訪れる重要イベントを踏まえて日銀政策修正を巡るスペキュレーションが繰り返される可能性がある」と予想した。

(第5段落の日銀国債保有比率を最新値に差し替えるなどして更新します)

©2022 Bloomberg L.P.