(ブルームバーグ): 米国の3月の利上げ後、日米株とも不安定な相場展開が続いているが、ここまでは過去の米利上げ時の経験則と同様の値動きを示している。市場では今後もこのパターンを踏襲するなら米国株に対する日本株の優位と株価上昇は年内継続するのではないかと指摘する声がある。

  1980年以降の過去9回の米国の金融引き締め局面で、1回目の利上げ後のS&P500種株価指数の推移(中央値)を東海東京調査センターが試算したところ、米国株は利上げ開始の2カ月後にボトムを付け、4カ月後にはプラス圏に浮上。6カ月後まで上昇した後は、もみ合い商状へと転じていた。

  それに対し、日経平均株価は最初の米利上げ後はほぼ右肩上がりで推移し、8−9カ月後にはピークを付けていた。この間、米S&P500種をおおむねアウトパフォームする傾向がある。

  一方、今回は3月15−16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で最初の利上げが決定。米S&P500種は4月以降に調整色を強め、約2カ月後である5月12日に年初来安値を付けた。半面、日経平均は3月安値を下回ることなく、米利上げ後もおおむね堅調に推移している。

  東海東京調査の平川昇二チーフグローバルストラテジストは「ここまでの株価の動きは過去の経験則とまったく同じ」とした上で、日米株の格差は「米長期金利が与えるインパクトの違いがあるため」と指摘する。金利上昇が株価バリュエーションの逆風になる米国株に対し、世界の景気敏感株としての色彩が強い日本株は金利上昇の背景にある景況感の改善ぶりがむしろ評価されやすいという。

  過去の経験則にのっとれば、米利上げ開始から8−9カ月後のことし11−12月まで日本株は強含むことになるとも平川氏は語る。過去のピークまでの中央値は、最初の利上げ時(今回は3月16日終値2万5762円)に比べ10%強の上昇率だった。

  三菱UFJ国際投信の向吉善秀シニアエコノミストは日本株がアウトパフォームしやすい経験則について、「米国は日米欧の中でいつも金融引き締めでトップバッターとなるのに対し、日銀は遅い。米国と日本との政策にタイムラグがあることが背景」とみる。今回も米国や欧州が利上げしても日銀は引き締めできる状況にはないとして、「米欧はリセッション(景気後退)懸念が強いが、日本はまぬがれるかもしれないとの期待がある」と言う。

  もっとも、10カ月後からは日本株が調整し、高値圏で推移する米国株とパフォーマンスが逆転することもデータは示唆している。東海東京調査の平川氏によると、金融引き締めで米景気の悪化が次第に重しになってくる日本株に対し、米国株はバリュエーション低下圧力が一巡して1株利益の成長分が株価を押し上げるためと分析していた。

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