(ブルームバーグ): 世界的なインフレ率急上昇がトルコやタイなど新興国の債券を直撃している。

  ブルームバーグの指数は、新興国の自国通貨建て債が年初来で8.7%値下がりしたことを示している。少なくとも2008年以来の大きな下げとなっている。世界中の中央銀行がインフレ抑制を図り積極的な利上げに向かっており、すぐに債券相場に落ち着きが戻る可能性は低い。

  多くの新興国は昨年、米国に先立ち利上げを主導。こうした新興国の中銀は13年に起きた「テーパータントラム」と呼ばれる債券市場の混乱の再発を避けたいとも望んでいた。ただ、米国でインフレが一段と進み、強いドルが他の通貨を圧迫する今、新興国は利上げの長期化や緩和策の解除を見据えており、南アフリカ共和国とフィリピン、エジプトが週内にも利上げすると見込まれている。

  ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏は「新興国の中銀が引き締めサイクルで先行していたと認識されていたことから、年初時点で人気のあった新興国の自国通貨建て債を引き締めサイクルの長期化が圧迫する公算が大きい」と述べた。 

  物価上昇圧力は非常に強く、ハト派の中銀でさえスタンスを見直していると市場では捉えられている。マレーシアとインドは最近、予想外の利上げを実施。スワップ取引は今後数カ月で追加対応があると織り込みつつある。中南米では一部で利上げを終えようとする動きもあったが、インフレ対応でより積極的な姿勢を迫られたブラジルとチリ、コロンビアは引き締めをさらに進めるとの観測がトレーダーの間に広がっている。

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  アバディーンの新興国市場ソブリン債責任者エドウィン・グティエレス氏(ロンドン在勤)は「予想外のインフレ上振れのたび」に政策当局は利上げを強いられると感じていると指摘。「現実的にインフレがピークに達したと確認されるまで利上げが停止されない可能性がある。残念ながら、多くの新興国では第3四半期(7−9月)もしくは第4四半期(10−12月)までピーク到達の可能性は低い」と語った。

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