(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガ銀行の前期(2022年3月期)決算が16日、出そろった。顧客部門の利益伸長などから各社の純利益は2桁増益となった一方、米金利の急上昇を背景に3月末時点での外国債券の含み損は3社合計で1兆7000億円規模に膨らんだ。ロシア関連での追加損失の可能性もあり、今期(23年3月期)業績のリスク要因となりそうだ。

  米連邦準備理事会(FRB)の利上げ姿勢を背景に米長期金利は年明け以降に急騰。その結果、22年1−3月期に各社の外債含み損が大きく拡大した。3月末以降も米金利の上昇は続き、今月には一時3.2%台と18年11月以来の高水準を付けた。

  MUFGの3月末時点の外債含み損は8528億円と1年前と比べて9558億円悪化した。亀沢宏規社長は他社に比べて預金超過の部分が大きく、その分を債券で運用しているとした上で、短期的には含み損が拡大するものの全体を見ながらコントロールすると述べた。株式などを含めた有価証券全体の運用では2兆3919億円の評価益となっている。

  野村証券の高宮健アナリストは16日付リポートで、MUFGの「外債の含み損は相応な額」としながらも、有価証券全体の含み益を考慮すると「マネージ可能な範囲と想定」されると述べた。

  三井住友フィナンシャルグループの外債評価損は4488億円、みずほフィナンシャルグループは4142億円とそれぞれ4501億円、3812億円悪化した。三井住友FGの太田純社長は、今期想定される外債の含み損について「吸収可能な範囲内」との見解を示した。

  みずほFGの木原正裕社長は、1−3月期に外債ポジションを縮減したとしながらも、金利上昇局面では外貨での流動性預金で増収が見込めるなどプラス効果もあると説明。「両方をバランスさせながら」運用すると述べた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリストは13日のリポートで、みずほFGの通期会社業績予想の達成リスクについて「ロシア関連引き当ての積み増しリスクと市場関連収益だろう」と指摘した。

ロシア引当金は3260億円

  ロシア関連の引き当てでは、原油価格の高止まりや、原材料費の高騰による国内顧客の業績圧迫など間接的な波及影響を含めた引き当てを前期に実施した。予防的な措置であるフォワードルッキング対応も含めて3社合わせて計3260億円の引当金を計上した。 

  そのほか、三井住友FGは航空機リースを手掛けるSMBCアビエーション・キャピタル(SMBCAC)でロシア航空会社向けリースの機体34機について簿価の52%の減損を実施した。リース機体の追加減損や与信費用が追加で発生するリスクも視野に入れている。

  ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストは14日のリポートで、ロシア向け与信の引き当てやSMBCACの機体減損、貨車リースの減損に加え、銀行リテール店舗やソフトウエアの減損が計上されるなど、三井住友FGの「リスク要因の対処は当社予想より多かった」との見方を示した。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一シニアアナリストは「今期の業績リスクは外債よりはロシアの方にある」と指摘する。外債で損失を計上したとしても株式の売却益で補うことができるとの見方だ。ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化が長引けば「追加引き当てのリスクはくすぶる」としている。

【3メガ銀グループの業績一覧】

注:上段が今期(23年3月期)見通し、下段が前期(22年3月期)実績。純利益の単位は億円、カッコ内は前の期との比較で%。

(4、7、10段落にアナリストのコメントを追加して更新します)

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