(ブルームバーグ): 世界経済を結び付け、世界中に大量の商品を届けてきたグローバル化が恐ろしいペースで巻き戻されている。

  ロシアのウクライナ侵攻と新型コロナウイルスの徹底排除を目指す中国のロックダウン(都市封鎖)はサプライチェーンを混乱させ、成長に打撃を与えるとともに、インフレ率を40年ぶりの高水準に押し上げた。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、グローバル化の反転加速が長期的に何をもたらすかを分析。示されたのは、豊かさが大きく失われ生産性も低下する世界だ。貿易は中国が世界貿易機関(WTO)に加盟する前の水準に戻る。インフレ加速と物価動向の不安定化も示唆された。

  投資家の観点からすれば、成長とインフレに対する厄介な見通しに満ちた世界が株式・債券市場を鼓舞することはほとんどない。これまでのところ、2022年の勝ち組は希少性が相場を押し上げている商品市場と、商品を生産または取引する企業だ。世界的な緊張が高まる中、防衛関連企業の株価も好調だ。  

  「分断は続く」と言うWTOのチーフエコノミスト、ロバート・クープマン氏はコストを伴う「再編されたグローバリゼーション」を予想。「これまで広く行われていた低コスト、限界費用での大規模な生産ができなくなる」との見方を示す。

  民主・権威主義国家間の産品貿易は約6兆ドル(約766兆円)相当で世界GDP(国内総生産)の7%に相当する。BEは分断リスクを織り込むため、世界経済のモデルに全て25%の関税が課されると想定。これは米国と中国が互いに課している関税率の最高水準だ。

  こうしたシミュレーションによれば、世界貿易はデカップリング(切り離し)がない場合と比べ20%程度縮小する。中国がWTOに加盟する前の1990年代末の水準への逆戻りという、極めて大きな痛みを伴う変化となる。

  83年にレーガン米大統領(当時)はソ連を「悪の帝国」と呼んだが、権威主義国家の陣営がこの年に世界GDPに占めた割合は20%程度だった。約40年後の今年、そのシェアは34%に上昇。今後数年で中国の経済規模は米国と欧州を上回るとの見方もあり、世界経済における強権国家の存在感は一段と大きくなる。

 

 

 

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