(ブルームバーグ): 大幅に下落している米テクノロジー株の底入れ宣言は、時価総額5兆5000億ドル(約700兆円)が吹き飛んだ後でも容易ではないが、投資家に希望を抱かす幾つかのシグナルが存在する。

  金利上昇と経済成長鈍化、インフレ高進が形成する最悪の状況が今年、テクノロジー株を押し下げ、キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントの上場投資信託(ETF)を昨年買い込んだ小口投資家から、アップル株に投資した資産運用会社まで幅広く打撃を受けた。

  株価グラフは悲惨な状況を示す。大型ハイテク銘柄で構成されるナスダック100指数は週間ベースで7週連続下落と、2011年以来の長期の下げ局面となり、昨年のピーク時からの下落率は30%に近づいた。時価総額1兆ドル超えの米ハイテク4社、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットが最近の下げを主導している。

  ただ一部の投資家にとって明るい兆しも見え始めている。ナスダック100の予想利益ベースの株価収益率(PER)は新型コロナウイルス禍に膨れ上がったバリュエーション(株価評価)が低減する中で、20倍前後と長期平均の水準となった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の向こう1年間の予想利益ベースPERは15倍前後と、昨年初めのピーク時の24倍を大きく下回っている。

  フェデレーテッド・ハーミーズの顧客ポートフォリオマネジャー、ジョーダン・スチュアート氏は「大規模な下げが多発する中で辛抱強くなるのは難しい。しかし痛みは和らぐはずで、近くそうなる可能性がある」と指摘した。

  先週、ジェフリーズのストラテジストはIT(情報技術)セクターに関して強気に転換。リポートで、投資家が一部の極端な金利シナリオを軽視する中で「現金に向かう動き」は「市場のPER圧縮に反映されている以上となっている」と述べた。

  ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズは弱気センチメントが短期のピークに達したことから、グロース銘柄への否定的見方をやめると表明した。実際、株価が200日移動平均を上回っている銘柄数は2020年前半以来最少であり、一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の投資家センチメントの指標は同行が「明確な逆張り買いの領域」と呼ぶ水準にある。

  ヘニオン・アンド・ウォルシュ・ アセット・マネジメントを率いるケビン・マーン氏は手元資金が潤沢なアップルとマイクロソフトは「打撃のほとんどが片付き」、ハイテク分野で好機が醸成されていることから長期的に下げを取り戻すだろうと分析した。

  ただ同氏は、市場にまだ降伏の兆候は見られない中で、回復のタイミングについては慎重であり、「底入れと呼ぶつもりは全くなく、今後、さらに売りが起こると確信している」と述べた。

  マーン氏と同じく、多くの投資家は一段と魅力的になっている価格と、世界経済の見通しの不確実性が引き続き高いという現実の狭間で迷っているのが現状だ。

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