(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比1.9%上昇となった。伸び率は前月から横ばいで、市場予想(2.0%上昇)を下回った。上昇は9カ月連続。総務省が27日発表した。

  生鮮食品を除く食料が前年同月比2.5%上昇と前月(2.3%上昇)から伸びが加速した一方、政府による原油価格高騰対策の影響などでエネルギー価格は22.3%上昇と前月(24.6%上昇)から鈍化し、指数への寄与度が低下した。携帯電話通信料は22.5%低下と前月から横ばいだった。

  4月の全国コアCPIは同2.1%上昇となり、消費税率引き上げの影響を除くと2008年9月以来、約13年半ぶりの高い伸びとなった。東京都区部のコアCPIは、足元の物価上昇に大きく寄与しているエネルギーのウエートが全国ベースよりも小さいため水準は低めに出やすいが、久しぶりの高水準となっている消費者物価の方向性を早期に把握する上で注目されている。

詳細(総務省の説明)

コアCPIの前年比上昇率の横ばいは、電気代中心にエネルギーの上昇幅が縮小する一方、生鮮食品除く食料などの上昇幅が拡大したため電気代の上昇幅縮小は昨年同時期の方が上昇ペースが速かったため。ガソリンの上昇幅縮小は政府による補助金の影響が出ている可能性生鮮食品を除く食料は15年3月(3.5%上昇)以来7年2カ月ぶりの高い伸び率。焼き肉やすしの外食が原材料費の上昇などを背景に値上がりしたほか、チーズなどの価格も上昇家庭用耐久財(7.0%上昇)も上昇幅が拡大。ルームエアコンが巣ごもり需要や半導体不足の中で、新製品の投入もあって価格が上昇した

エコノミストの見方

大和証券の末廣徹シニアエコノミスト:

市場予想対比で下振れたのはエネルギー価格の寄与下落の影響が大きいガソリン価格などの上昇を抑えるための政府の補助金が効いているのと、燃料費転嫁の上限に達している電力会社もある。エネルギー価格の上昇は既にピークに達している可能性がある全国コアCPIに関しては、2.5%程度まで秋ごろには上昇幅を拡大する可能性をみていたが、今日の数字からすると2.0−2.3%の間で推移するようなことになるかもしれない今日の数字は改めて日本の物価の弱さを印象付け、日本銀行の政策修正観測を弱めるのではないか。緩和継続の必要性を訴えている日銀にとっては都合の良い結果だ

背景

引き続きエネルギーが前年比での押し上げに大きく寄与するが、政府による補助金支給により、ガソリン価格などの上昇が抑制される見通し。原材料費の上昇や円安を背景にした食料品価格の上昇も続く見通し足元の消費者物価は日銀が掲げる2%の物価安定目標に水準としては到達しているが、黒田東彦総裁は輸入物価の上昇が中心であり、安定的な2%の達成にはならないと指摘。金融緩和の継続を改めて表明した

(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)

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