(ブルームバーグ): 中国当局は現在、企業と家計に借り入れを増やすよう促している。新型コロナウイルスの感染拡大とコロナ対策のロックダウン(都市封鎖)で景況感と消費者信頼感の低迷が続く中での厄介な闘いだ。

  融資の伸びは4月に5年近くで最悪の水準に落ち込んだ。5月にデータが大きく好転することはなさそうだと幾つかの指標は示唆。住宅の販売不振が続き、住宅ローン需要や不動産会社の与信需要も弱い。

  借り入れ意欲の欠如は中国の「ゼロコロナ」戦略を巡る不確実性に大きく起因する。今後またコロナ感染が拡大すれば、上海市の経済活動を数週間にわたりまひさせたようなロックダウンが繰り返されるとの懸念は根強い。ロックダウンで企業は生産停止や雇用削減に追い込まれ、収益を大きく減らした。今は多くの会社が事業拡大計画を保留としている。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は「市場で事業体の見通しが悪化し、事業拡大が鈍化していることを与信需要の低迷が示している」と指摘。多くの投資活動は融資を確保した後で初めて始めることができるため、7−9月(第3四半期)も中国経済の持ち直しが弱い可能性を示唆していると述べた。

銀行間金利

  銀行間市場でのある種の短期融資金利低下は、銀行があまり企業に貸し出しをしていないことを示す1つの兆しだ。上海コマーシャルペーパー(CP)取引所のデータによると、先週初めに1カ月物金利が0.01%に低下したが、月末に向けて金利がゼロに近づいたのは昨年12月以来4回目。

企業債務

  企業の起債への関心は薄い。ブルームバーグがまとめたデータによれば、中国本土での5月の社債発行額は償還額を7カ月ぶりに下回る見込み。発行額が期限を迎える社債額より1020億元(約1兆9600億円)少なくなりそうで、新規借り入れより債務返済が多いことを意味する。

不動産不況

  中国人民銀行(中央銀行)は5月20日、住宅ローン金利の基準となる5年物ローンプライムレート(LPR)を4.45%に引き下げた。人民銀による2019年の金利改革後で最大の引き下げ幅だった。その結果、住宅ローン金利は最大35ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。当局はまた、合理的な住宅ニーズをサポートすると表明。住宅ローン金利の引き下げなどを通じ住宅購入規制を緩和する都市も増えている。

流動性のわな

  銀行システムは現金であふれている。銀行間借り入れコストの主要な指標である翌日物レポ金利は、2カ月余りにわたり2%未満にとどまっている。ここ2年で最も長く2%割れが続く。

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