(ブルームバーグ): 石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は2日のオンライン閣僚級会合で、7月と8月の原油供給拡大ペースを加速させることで合意した。ウクライナに侵攻したロシアに石油カルテルでの中心的地位を引き続き認める一方、増産を求める米国にも協調姿勢を示した。

  OPECプラスは昨年以降、日量40万バレル程度ずつの小幅な供給拡大を毎月継続してきた。6月が日量43万2000バレルだったのに対し、7月と8月は同64万8000バレル増やす。両月のグローバル需要の0.4%を満たすわずかな供給増に過ぎないが、価格高騰が続く市場の逼迫(ひっぱく)緩和につながる可能性がある。

  ロシアをOPECプラスの生産目標から完全に排除する用意があるのではないかとの観測にもかかわらず、同国の経済的孤立を目指す陣営に米国がサウジを引き込めるかどうかは、うやむやなままだ。参加国の複数の代表が匿名で語ったところでは、今回の合意に至る協議は、ロシアの全面的な支持を得てわずか11分で終了した。

  ホワイトハウスのジャンピエール米大統領報道官は「供給拡大というOPECプラスのきょうの重要な決定を米国は歓迎する。OPECプラスの座長、最大の生産国として、今回の合意形成でサウジが果たした役割を評価する」とコメントした。

  ロシアの産油量はウクライナ侵攻以降、既に日量100万バレル程度減少しているが、欧州連合(EU)による対ロシア制裁第6弾の最終案が承認されたことを受け、さらに落ち込む恐れがある。

  さらにロシアだけでなく、これまで生産を増やせなかったアンゴラやナイジェリアといった参加国にもより高い生産目標が適用されるため、最近数カ月繰り返されたように実際の供給増は公式の数字より少なくなりそうだ。

  対ロシア制裁で生じた供給不足を満たす十分な余剰生産能力を備えるのは、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)だけだが、その能力の多くは7月と8月の供給上積み後も温存される見通しだ。極めて重要な両月のOPECプラス会合では、ロシアとの関係断絶を一層進めるよう欧米諸国が湾岸産油国を説得できるかどうかが決まることになりかねない。

  ニューヨーク原油先物相場は、アジア時間3日の時間外取引で、1バレル=116ドル台後半で底堅く取引された。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)7月限は、シンガポール時間午前9時37分(日本時間同10時37分)現在0.1%安の1バレル=116.75ドル。

  米紙ニューヨーク・タイムズによれば、バイデン米大統領はサウジを今月訪問し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談する予定だ。サウジの反体制ジャーナリストで、米紙ワシントン・ポストのコラムニストだったジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件の責任を巡り、バイデン大統領は皇太子を非難してきたが、国内のガソリン価格急騰で関係修復を求める政治的圧力が高まっている。

  エンベラス・インテリジェンス・リサーチのディレクター、ビル・ファレンプライス氏は「サウジと米国の外交関係には雪解けが見られるが、完全な正常化にはさらなる進展が必要だろう。米国がサウジとロシアとの関係に亀裂を生じさせることができるかはより大きな難題だ」と分析した。

 

(サウジと米国との関係などについて追加して更新します)

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